図解
※記事などの内容は2020年5月4日掲載時のものです
男性の育児休業が伸び悩んでいる。政府は2010年から「イクメンプロジェクト」に取り組むが、目標に掲げる20年の取得率13%は絶望的だ。こうした状況を打開しようと、自民党の検討チームは「パパ産休」を設けるなど、新たな試みを提言。民間でも働き方改革の一環として、積極的な取得を促す企業が増えつつある。
18年度の雇用均等基本調査では、男性の育休取得率は前年度比1.02ポイント上昇の6.16%。6年連続の上昇だが、目標にはほど遠く、取得率8割超が続く女性とは比べものにならない。
取得日数では、女性の6割が1年前後(10~18カ月未満)なのに対し、男性では7割が2週間未満。4割近くが5日未満で、夏期休暇と大差がない。
自民党の検討チームが3月にまとめた中間提言では、「社会や職場の雰囲気、仕事の属人化といった理由から、男性社員が自分から育休を申請できない状況にある」と分析。政策により、社会の意識や企業文化を変える必要があるとした。
具体的には産後4週間を「パパ産後休業期間」に設定。産後の母親のサポートに専念するため、この間の給付金の助成率を現在の実質8割から10割に引き上げ、休暇取得を促す。検討チームは政府が取りまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に、提言の反映を目指す。
仙台市で広告・印刷を手掛ける「ユーメディア」は、積極的に育休取得を呼び掛け、取得率100%を達成している。限られた時間の中で働くことで社員の意識が変わり、残業の減少やワークライフバランスの向上につながっているという。
ただ、同社で15~19年に育休を取った男性9人の取得日数は最長で9日。取得者からは「申請しにくい空気があった」との声も聞かれた。長期化には会社が休める環境を整えるだけでなく、「男性の育休に非常に抵抗感がある世の中の風潮をどう変えていくか」(今野彩子取締役)がカギとなりそうだ。
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