図解
※記事などの内容は2020年3月10日掲載時のものです
新型コロナウイルスの感染拡大で中小・零細企業の苦境が鮮明になりつつある。部品供給の停止や訪日客の減少に加え、イベントや会合などの自粛ムードが広がっているためだ。廃業や倒産への懸念が強まる中、取引先に多くの中小・零細企業を抱える地域金融機関は独自の資金繰り支援に動き始めている。
東京商工リサーチはこのほど、中小企業約2500社を対象に調査を実施。それによると、2月の売り上げが前年同月比で2割以上落ち込んだと回答した企業は500社超に及んだ。
首都圏で服飾雑貨を販売する60代の男性経営者は「百貨店の催事が中止になり、売り上げが減った。(自粛は)いつまで続くのか」と不安を募らせている。体力に乏しい中小・零細企業にとって急激な減収は致命傷となりかねず、ある金融機関の幹部は「(取引先から)2008年のリーマン・ショックと11年の東日本大震災が同時に来たようだとの声も聞く」と話した。
政府は既に政府系金融機関などを通じた金融支援を実施しているが、麻生太郎財務相は「取引先に資金繰りは大丈夫かと聞く態度が大切」と語り、地域金融機関の積極的な関与に期待を示す。
地域金融機関側も対応を急いでいる。城南信用金庫(東京)は「当面の資金繰りを支え、対策に専念できるようにする」(川本恭治理事長)とし、元本返済を1年間猶予する融資の提供を開始。福島県の東邦銀行なども同様の融資を始め、第二地方銀行協会は会員各行の取り組みを一覧にし、利用を促している。
ただ、リーマン・ショック当時に支援を受け、その後の返済で苦しんだ経験から借り入れに慎重な中小・零細企業は多い。金融庁関係者は「貸しっ放しにせず、経営改善を支援する姿勢を示すことが重要だ」と注文を付けている。
●中小企業の休廃業件数
●小規模事業者の月次売上指数
●日本政策金融公庫の融資状況
●日本経済を支える中小企業
●新型コロナに苦しむ中小企業
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