図解
※記事などの内容は2019年2月19日掲載時のものです
日本企業が英国事業を見直す動きが拡大している。英国の欧州連合(EU)離脱による企業活動への影響が不透明なことが背景にある。離脱期限が3月末に迫る中、取り決めがないまま脱退する「合意なき離脱」への懸念も高まっており、日本勢は対応を急いでいる。
日産自動車は今月3日、英北東部のサンダーランド工場で計画していたスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」の次期モデルの生産を、日産自動車九州(福岡県苅田町)に切り替えると発表した。EU離脱問題で事業環境が不安定になっていることを踏まえた措置だ。
電機大手パナソニックは欧州本社を既にオランダに移転したほか、ソニーも3月に同国に移す予定。ソニーは「(税関手続きなどで)欧州事業を従来通り運営できなくなる可能性がある」(広報担当者)と狙いを説明する。
ホンダは2021年に英南部スウィンドン工場での生産を終了すると発表したが、EU離脱との関連は否定している。八郷隆弘社長は、英国に置く欧州本社について「まだ不透明なので、もう少し状況を見て判断する」と語った。
合意なき離脱が現実になれば、税関の手続きが煩雑になり、物流が混乱して自動車部品などの調達に支障が出る恐れもある。
トヨタ自動車は、部品の在庫をなるべく持たない生産方式を採用している。友山茂樹副社長は、英中部のバーナストン工場について「部品が一つでも入ってこなくなると(操業を)停止せざるを得ない。在庫はせいぜい4時間分だ」と危機感を示し、合意なき離脱の回避を求めている。
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