図解
※記事などの内容は2020年5月28日掲載時のものです
日産自動車が28日発表した2020年3月期連結決算は、純損益が6712億円の赤字(前期は3191億円の黒字)だった。赤字転落は11年ぶりで、損失額は00年3月期に次ぐ過去2番目の規模。販売不振に加え、ゴーン体制下で膨張した過剰な生産能力の削減など構造改革費用が収益を圧迫した。立て直しへ海外2工場を閉鎖し、生産能力を20%削減するなどリストラを加速する。
00年3月期は、再建計画「日産リバイバルプラン」で国内5工場の閉鎖などを決め、6843億円の純損失を計上した。今回は世界的な新型コロナウイルス流行も打撃となった。オンラインで記者会見した内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「失敗を認め、正しい軌道に修正し、構造改革を一切の妥協なく断行する」と述べた。
20年3月期は、新車投入の遅れなどが響き、主力の北米をはじめ幅広い地域で販売が低迷。世界販売は7年ぶりに500万台を下回る493万台に落ち込んだ。期末にかけては新型コロナの感染拡大も追い打ちとなった。売上高は7年ぶりに10兆円を下回り、固定資産の減損損失と構造改革費用で6030億円を計上した。21年3月期の業績予想は公表していない。
同時に、前会長のカルロス・ゴーン被告が進めた拡大路線からの脱却に向けた中期経営計画を公表。生産能力は従来の660万台から540万台に縮小する。世界規模で生産能力を20%以上削減することで、工場稼働率を80%以上に高める。
具体的には、インドネシア工場を閉鎖し生産をタイに集約するほか、スペイン・バルセロナ工場も閉鎖に向け地元政府などと協議を進める。韓国市場から撤退し、東南アジアの一部事業も縮小。車種数は20%減らす。一連のリストラで3000億円の固定費を削減し、23年度までに営業利益率5%を目指す。
一方、日本や中国、北米を重点地域と位置付けて経営資源を集中。今後1年半の間に世界で12の新型車を投入する。
新着
会員限定