図解
※記事などの内容は2019年8月29日掲載時のものです
トヨタ自動車とスズキが株式を相互に持ち合う形での資本提携を決めた。スズキが加わるトヨタ陣営の世界販売台数は年1600万台超に達する。規模のメリットを最大限に生かし、「100年に1度の大変革期」(豊田章男社長)を迎えた次世代技術のグローバル開発競争に結束して挑めるかが課題だ。
トヨタの2018年の世界販売は、ともに子会社のダイハツ工業と日野自動車を加え1059万台で、独フォルクスワーゲン(VW)、日産自動車などの3社連合に次ぐ3位。連結対象外だが資本関係のあるマツダ、SUBARU(スバル)に今回、インド市場に強みを持つスズキが加わることで、VWを600万台規模引き離して「首位」に立ち、巨大ITなど異業種を巻き込んだ次世代技術の覇権争いに立ち向かう構図となる。
次世代技術は、インターネット対応のコネクテッドカー(つながる車)、自動運転、シェアリング、電動化の英語の頭文字を取って「CASE(ケース)」と呼ばれ、巨大ITなどとのグローバルな開発競争が激烈を極める。とりわけ、自動運転分野は米国のグーグルやアップル、中国・百度(バイドゥ)などが膨大な資金を投じ、人工知能(AI)を軸に技術水準の高度化に躍起だ。
膨大な蓄積データの解析に強みを持つ巨大ITによる「勝者総取り」(自動車大手役員)を回避するため、「志を同じくする仲間を広く求めていく」(豊田社長)という緩やかな連合づくりの照準は「AI革命の指揮者」を目指すソフトバンクグループの孫正義会長兼社長にも向けられた。同グループとは昨秋、自動運転など次世代移動サービスを手掛ける共同出資会社を設立。新会社にはスズキやマツダ、スバルなどトヨタ陣営各社が出資しており、自動運転分野の遅れを取り戻す舞台となる。
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