図解
※記事などの内容は2019年6月28日掲載時のものです
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が日産資金以外に、仏自動車大手ルノーの資金約3億5000万円も自身に還流させた疑いがあることが28日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部も資金の流れを把握しており、地検は会社法違反(特別背任)事件の公判でルノー資金の還流についても立証する方針。
ルノーと日産の資金還流は、いずれも最高経営責任者(CEO)の裁量で支出できる予備費が利用されるなどの共通項がある。同時に送金手続きが取られたものもあり、地検は日産資金をめぐる特別背任罪の立証を補強するため、ルノー資金の流れも公判で明らかにする。
地検の立証予定内容や関係者によると、ゴーン被告は、オマーンの販売代理店「SBA」側と資金還流について協議。ゴーン被告がルノー資金をSBAに送金し、SBAは半額を同被告が実質保有するレバノンの投資会社「GFI」に還流させることで合意した。
この合意後の2017年、ルノーからSBAに計570万ユーロが送金され、ちょうど半額の285万ユーロ(当時のレートで約3億5000万円)がSBAからGFI側に送金されていた。資金はルノーの予備費「CEOボーナス」から捻出されていたという。
ゴーン被告は17~18年、日産子会社「中東日産」からSBA側に計1000万ドルを送金し、半額の計500万ドル(約5億5500万円)をGFI口座に振り込ませたなどとして追起訴されている。この資金の原資は日産予備費「CEOリザーブ」で、ゴーン被告はルノー資金同様、SBA側と還流に合意していたという。
ゴーン被告の弁護人によると、同被告は「資金を還流していない」と不正を否定している。
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