図解
※記事などの内容は2019年4月23日掲載時のものです
フランス自動車大手ルノーが、企業連合を組む日産自動車に経営統合を提案したことが波紋を広げている。ルノーは従来、統合を目指していたが、経営の独立性を重視する日産に配慮し、いったん議論を棚上げする姿勢に転じた。しかし、カルロス・ゴーン被告の後任としてルノー会長に就いたジャンドミニク・スナール氏らの新経営体制も、依然として統合にこだわっていることが分かった。日産が警戒を強めるのは必至だ。
日産、ルノー、三菱自動車の前会長で、これら3社の連合を率いていたゴーン被告が不正問題で失脚した昨年11月以来、日産、ルノーは主導権争いで激しく対立した。だが、今年1月にルノー会長に就いたスナール氏は、連合体制の崩壊を防ぐため両社の融和を優先。関係は修復に向かい、今月8日の日産の臨時株主総会ではスナール氏が同社取締役に選任された。
ただ、ルノー筆頭株主の仏政府は引き続き、同社に日産と統合するよう求めている。日産は、ルノーが政府の意向を受け、いずれ統合協議を持ち掛けてくるとみていた。ルノーによる日産への統合の打診は、3社連合が今月12日にフランスで開催した会議の前後に行われたもようだ。
日産はルノーにのみ込まれることを警戒し、統合に否定的な姿勢を変えていない。日産の西川広人社長は23日夜、東京都内で記者団に対し、統合について「今議論するタイミングではない」と語った。同日の取締役会には、スナール氏もインターネット中継で参加したものの、統合問題は議題にならなかったという。
ルノーは日産への影響力を強めるため、最高執行責任者(COO)以上の幹部を送り込みたい考えだ。しかし、23日決定した役員人事で日産は、生え抜きをCOOに昇格させ、ルノー出身者を副COOにするにとどめた。西川氏は「私がこういう体制で仕事をしたいということだ」と説明したが、ルノーは今後も幹部の受け入れを求め続けるとみられ、両社の緊張が高まる可能性がある。
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