図解
※記事などの内容は2019年4月10日掲載時のものです
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)が会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕され、11日で1週間。中東を舞台とする日産私物化では、同容疑者が資金難を救ってくれた友人に資金提供したとの構図が浮かび上がってきた。東京地検特捜部は、友人への謝礼などがエスカレートし、自身に還流させたとみて捜査している。
特捜部の調べでは、私物化は解明が進む「オマーンルート」と、起訴済みの「サウジアラビアルート」に分けられ、2009年に始まったとみられている。前年秋にリーマン・ショックが発生。ゴーン容疑者は新生銀行とのデリバティブ(金融派生商品)取引で約18億5000万円の含み損を抱えるなど、資金難に陥っていたとされる時期だ。
この窮地を救ったとされるのが、旧知のサウジアラビア人実業家だ。同容疑者は実業家から得た約30億円の信用保証を新生銀から要求されていた追加担保として提供。09年6月以降、日産資金約12億8000万円を実業家側に送金したとして起訴された。
一方、ゴーン容疑者は同年1月、オマーンの販売代理店創業者からも約30億円の借金をしていた。創業者も同容疑者と旧知の間柄で、同容疑者は翌月、新生銀に自身の預金約22億円を担保として提供。代理店には12年以降、日産資金約35億円が送金され、ゴーン容疑者は15~18年、うち約5億6000万円を私的流用したとして再逮捕された。
いずれの送金も、利用されていたのは、最高経営責任者(CEO)の裁量で支出できる「CEOリザーブ」だ。自然災害時のお見舞いなど、通常予算外の支出に対応する目的で09年ごろに設けられた予備費で、創設はゴーン容疑者の指示だった。
サウジアラビア、オマーン両ルートとも、日産資金は子会社「中東日産」を介して送金されており、特捜部は2ルートの共通項に着目し、資金の流れの解明を急いでいるもようだ。
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