図解
※記事などの内容は2019年4月6日掲載時のものです
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)が中東オマーンの販売代理店を介し、日産資金を自身に還流させたとされる特別背任事件で、この代理店が日産に支払うべき自動車購入費の利子の利率が一時、0%に設定されていたことが6日、関係者への取材で分かった。ゴーン容疑者の指示だったという。
東京地検特捜部もこの情報を把握。0%になったのは、ゴーン容疑者が代理店創業者から約3000万ドル(現在のレートで約33億円)の借金をした2009年で、経緯などを捜査している。
関係者によると、オマーンの代理店は、地元で販売する自動車を日産から購入した際、代金を一定期間ごとにまとめて後払いにしていた。この場合、代金には日産の社内基準に基づく利率で計算した利子が上乗せされるが、代理店の利率は09年に0%に設定され、12年ごろまで続いていた。
その後、無利子は改められたものの、依然、社内基準より低く、中東関係の日産社員は内部調査に「通常ではあり得ない状態」と証言。こうした措置を「ゴーン容疑者の指示」と明かした。日産が09~18年の利子を本来の利率で計算し直したところ、オマーンの代理店は約80億円の利子負担を免れた可能性があったという。
利率が改まった12年は、同容疑者の裁量で支出できる予備費「CEOリザーブ」から代理店への送金が始まった時期で、送金は少なくとも3200万ドル(同約35億円)に上る。特捜部はこのうち500万ドル(当時のレートで約5億6300万円)について、日産に損害を与えた疑いでゴーン容疑者を再逮捕し、送金の経緯を捜査。ゴーン容疑者は不正を全面否定している。
新着
会員限定