図解
※記事などの内容は2019年2月14日掲載時のものです
日産自動車と仏自動車大手ルノーが悪化していた関係の修復に動きだした。ルノーのジャンドミニク・スナール会長は就任から1カ月もたたずに訪日。日産の西川広人社長と2度目の直接会談を行い、「融和」を演出した。ただ、両社は資本関係の見直しや日産会長人事をめぐる火種を抱えており、協調路線の行方には不透明感もある。
日産とルノー、三菱自動車の3社連合は2018年に計1075万台の新車を販売し、世界首位の独フォルクスワーゲン(1083万台)に肉薄した。3社は規模を生かした資材調達などでコスト削減を進めている。西川氏は「アライアンス(連合)は大きな財産で、不活性化することはあり得ない」と強調し、ルノーと三菱自も提携重視で足並みをそろえている。
ただ、各論では思惑のすれ違いが目立つ。ルノーは日産に43.4%、日産はルノーに15%をそれぞれ出資しているが日産には議決権がない。日産が不平等の解消に向けて出資比率の見直しを目指す一方、ルノー筆頭株主の仏政府は両社の関係強化を求め、経営統合を画策しているとの見方もくすぶる。
昨年11月のカルロス・ゴーン被告解任後、空席となっている日産会長の選任も焦点だ。ルノーは提携協定で日産に首脳級役員を送り込む権利を持つ。スナール氏は日産が4月に開く臨時株主総会で同社取締役に選任される運びで、日産の会長候補に浮上する可能性がある。ただ、日産は個人に権限を集中すれば「第2のゴーン」が生まれると警戒。会長兼任には「リスクがある」(関係者)と慎重論が強い。
日産は現在、外部有識者らの特別委員会で企業統治改革を議論している。日産は同委の提言を踏まえ、会長の選任方法などを検討する方針。両社は当面、信頼関係の構築を優先し、資本や人事の協議は今後本格化するとみられる。
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