図解
※記事などの内容は2018年9月27日掲載時のものです
トヨタ自動車が、四つの販売系列ごとに振り分けてきた車種を全店共通に切り替える戦略転換へかじを切った。日産自動車、ホンダは早々に販売店の系列を廃止したが、国内の新車販売台数(軽自動車除く)で年間シェア5割に迫る首位のトヨタも半世紀を上回る系列販売の見直しを迫られた格好だ。背景には人口減に伴う市場縮小に加えて、車を共同利用するカーシェアリングの普及など市場環境の変化がある。
国内メーカーの多くは、顧客層ごとに系列で異なる「専売車」を扱ってきた。しかし、バブル崩壊後の環境悪化を受けて、日産は1999年に5系列を2系列に再編し、2011年には両系列を統合した。ホンダも06年に一本化、マツダは16年に実質的に統合し、コスト削減と顧客囲い込みの二兎(にと)を追ってきた。
トヨタは唯一、地場資本を中心に約280に上る系列販売会社に支えられ、盟主の座を維持してきたのが実情。16年にはIT普及などを見据え、系列ごとの支援から地域を軸とした販売戦略の見直しに着手。今回の実質的な系列一本化の決断を踏まえ、20年から25年ごろにかけ、段階的に全店・全車種販売体制に移行する。現在約60に上る車種も半減させ、開発・販売コストを削減する。
戦略転換によりトヨタが狙うのは若者らの需要拡大が見込めるカーシェアへの本格参入だ。販社再編を契機に来年4月に東京で始め、直営店を含む全国約5000拠点が参加できるシステム構築を目指す。全店・全車種販売により、「原則どの店でも全ての車種を提供、返却できる姿」(トヨタ幹部)を描いており、各店の試乗車を活用し、若者らとの接点拡大にも生かす。同様の取り組みで全国展開を伺うライバル大手を追撃する。
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