図解
※記事などの内容は2018年8月13日掲載時のものです
日本から海外へ輸出される中古の電動車が急増している。財務省の貿易統計によると、2018年上半期(1~6月)の輸出は、電気自動車(EV)が前年同期比で2倍強の3464台、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)は36.4%増の7万9501台に上った。日本製エコカーの人気が背景にあるが、高性能電池の国外流出につながり、資源の再利用に支障が出る可能性もある。
EVはニュージーランドやロシア、HVはスリランカやモンゴルへの輸出が多い。新興国でも環境意識が高まっており、中古電動車の引き合いは強い。日本には、新車購入時に消費者があらかじめリサイクル費用を支払い、廃車時に解体業者などが有用な部品や金属を回収する制度がある。HVなどの電池は蓄電池として再利用するほか、レアメタルを抽出して活用している。
ただ、リサイクルを管理する自動車リサイクル促進センター(東京)によると、廃車されて再利用に回る電動車は輸出より少なく、17年度は年間でEVが135台、HVが2万2487台にとどまる。自動車業界関係者は「国内で資源を循環させる仕組みが破綻しかねない」と指摘する。
政府は50年までに日本メーカーの全ての乗用車を電動化する目標を掲げる。世界では電池の原料となる資源の争奪戦が激化しており、再利用の重要性は高まっている。政府は今後、電池のリサイクル促進策を検討する方針だ。
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