図解
※記事などの内容は2017年1月18日掲載時のものです
「大統領に就任すれば政策は現実的になる」。トランプ次期米大統領がメキシコに工場を新設し米国に輸出しようとする企業を名指しで相次ぎ批判していることを受け、日本の自動車大手の期待が急速にしぼみつつある。各社は標的にされないよう神経をとがらせながら、20日の就任後に出される政策を見守っている。
米ゼネラル・モーターズ(GM)が17日、米国に10億ドル(約1130億円)を追加投資すると発表すると、トランプ氏はツイッターで早速「サンキュー」と表明した。これで米自動車大手3社がそろって同氏への配慮を示した格好で、今後は海外メーカーに矛先が向かう場面が増える可能性も否定できない。
メキシコでの工場新設計画を名指しで批判されたトヨタ自動車の豊田章男社長は米デトロイトで9日、自動車ショーの記者会見を利用し、「今後わずか5年間だけで(米国に)さらに100億ドルを投資する」と表明。翌10日には首都ワシントンでペンス次期副大統領に会い、米経済への貢献をアピールした。ペンス氏はトヨタが工場を置くインディアナ州の前知事。トヨタ側は、「良き企業市民」として米経済に引き続き貢献するというメッセージが、次期政権に伝わったと期待する。
メキシコは、北米自由貿易協定(NAFTA)を活用して米国へ関税なしで輸出できる利点と安価な人件費をてこに、日米欧の自動車大手の工場を呼び込み、世界7位の自動車生産国になった。トランプ氏が公約通りNAFTAを見直せば、メキシコに進出した前提条件が変わり、自動車大手は北米戦略の修正を迫られる公算が大きい。
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