図解
※記事などの内容は2019年5月14日掲載時のものです
財務省が14日発表した2018年度の国際収支速報では、米中貿易摩擦による中国経済の減速で日本の輸出が伸び悩む構図が浮き彫りになった。中国経済の変調は、内閣府が3月の景気動向指数の基調判断を「悪化」に下方修正する要因にもなった。米中摩擦の激化により、国内景気の先行きに対する懸念が強まりそうだ。
18年度の輸出総額は前年度比2.6%増の80兆3171億円。伸び率は17年度の10.6%増から大幅に鈍化した。主な要因は中国向け輸出の失速。18年度の対中輸出額は2.9%増の15兆6211億円で、17年度実績(18.3%増)に比べ急ブレーキがかかった格好だ。
日本企業が世界中でサプライチェーン(部品供給網)を構築していることも、問題を複雑にしている。世耕弘成経済産業相は14日の閣議後の記者会見で、米中貿易摩擦の激化が日本企業に与える影響について「代替(輸出など)の可能性があるかどうかも含め、今の段階で答えるのは難しい」と述べるにとどめた。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、米中摩擦の激化から日本企業の対アジア輸出が低迷する可能性を指摘する。日本からアジアに輸出された機械部品などを組み込んだ製品が中国に渡り、さらに米国などに向かう一連の流れが滞りかねないからだ。宮前氏は「関税が掛かるのを避けるため、米国生産が進み、ますます輸出が伸び悩むのではないか」と分析している。
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