警視庁のバッジ35種類、初めて一挙公開

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 初めて一挙公開が認められた警視庁のバッジ(奥は制帽)。バッジは所属先や職務によってデザインや配色が大きく異なるが、胸につける重みはどれも同じだ。

 初めて一挙公開が認められた警視庁のバッジ(奥は制帽)。バッジは所属先や職務によってデザインや配色が大きく異なるが、胸につける重みはどれも同じだ。

 初めて一挙公開が認められた警視庁のバッジ(奥は制帽)。バッジは所属先や職務によってデザインや配色が大きく異なるが、胸につける重みはどれも同じだ。
【機動隊】<br> 雑踏やデモの警備にあたる機動隊のバッジは同庁で最も歴史が古い。1949年ごろに誕生したとみられるが、詳しい資料は残されていない。<br> 機動隊員は現在、金色の桜が大きく刻印されたバッジを左胸に着用。右胸にも「1~9」の数字か「特」の文字のバッジを付ける。いずれも所属する部隊を示すもので、「特」は特科車両隊を指す。写真の「1」は第1機動隊のバッジ。<br> 例えば第5機動隊の場合、「左桜(さざくら)、右5(うご)」の言い方で、左右を間違えないようにしている。平成の時代まで新人は毎日、先輩の出勤前にバッジを洗剤で磨き上げる習慣があったといい、元隊員は「桜マークの減り具合が先輩の証しだった」と明かす。
【音楽隊】<br> 警視庁の式典や防犯教室、都民向けのコンサートで美しい音色を奏でる音楽隊のバッジは、たて琴「リラ」が中央部分に浮き上がるように刻まれている。演奏服の夏用には銀色の、それ以外は金色のバッジをそれぞれ着用する。1948年に発足した同隊の初代隊長が最初にデザインし、49年11月から使用を開始。75年近い歴史でこれまでに2度、図柄が変更されている。<br> 旧日本陸軍の軍楽隊史によると、「リラ」は世界共通の音楽標章。1884年にフランス陸軍の軍楽長によって伝えられ、旧日本陸軍の軍楽隊でも使用されたとされる。
【護送】<br /> 勾留中の容疑者を護送する留置管理2課の課員が着用している。護送は専用のバスを使い、警視庁本部や警察署と検察庁や裁判所とを定期的に巡回するのが主な業務。連帯感と使命感の醸成や士気高揚を図るため身に付けている。<br /> 1950年1月から着用が始まったが、当時の記録は残っておらず、製作の経緯やデザインの意味は不明という。
【機動隊組長】<br /> 国会などの重要施設やデモ・雑踏の警備、災害時の対応にあたる機動隊。計10ある隊(大隊)は、それぞれ中隊、小隊、分隊で編成されており、分隊のリーダー的存在である「組長」に任命された隊員がこのバッジを着用する。1963年5月に作製された。
【航空隊・操縦士】<br> ヘリコプターで災害救助や遭難者の捜索をする航空隊には、操縦士用と隊員用の2種類のバッジがある。操縦士用は、金色の旭日(きょくじつ)マークの両側から銀色の羽が伸びるようなデザインで、1967年ごろから着用している。
【航空隊員】<br> ヘリコプターで災害救助や遭難者の捜索をする航空隊には、操縦士用と隊員用の2種類のバッジがある。隊員用は、正円の中に「航空」の文字と羽を配置したデザインで、1969年ごろから使うようになった。
【警察署長】<br> 警察署のトップを務める署長のバッジは、旭日(きょくじつ)のマークを左右6枚ずつの桜の葉で囲んだデザイン。識見を表現したもので、署長は金色のものを着用している。直径は3.5センチで、正円のバッジの中では最も大きい。<br> 1970年1月に誕生した。組織改編でナンバー2ポストが設置されたことに併せ、72年6月に副署長用が作られた。<br> 映画「踊る大捜査線」シリーズの署長役や副署長役の胸にも輝いていた。制服ジャケットの右胸と、その下に着るシャツにも付け、計2つを同時に着用する。
【警察副署長】<br> 警察署ナンバー2の副署長のバッジも署長と同様、旭日(きょくじつ)マークを左右6枚ずつの桜の葉で囲んだデザイン。識見を表現したもので、署長の金色に対し、副署長は銀色のものを着用している。直径は3.5センチで、正円のバッジの中では最も大きい。<br> 当初は1970年1月に誕生した署長バッジだけだったが、組織改編でナンバー2ポストが設置されたことに併せ、72年6月に副署長用が作られた。<br> 映画「踊る大捜査線」シリーズの署長役や副署長役の胸にも輝いていた。制服ジャケットの右胸と、その下に着るシャツにも付け、計2つを同時に着用する。
【警察署次長】<br /> 東京都内の島しょ部にある大島、新島、三宅島、八丈島、小笠原の計5警察署の次長が付けるバッジ。一般の警察署と違って、島しょ部に副署長のポストはなく、代わりに次長がナンバー2の役目を務めている。<br /> 副署長用と同じくいぶし銀の色で、旭日(きょくじつ)マークを左右6枚ずつの桜の葉で囲んだデザイン。直径は3センチで、副署長のバッジ(直径3.5センチ)よりわずかに小さい。1974年1月から着用が始まった。
【交通機動隊班長】<br /> 白バイやパトカーで交通違反の取り締まりをする交通機動隊で、リーダー的な存在として、資機材の管理などにあたる隊員に授与される。業務中は制服の右胸に付ける。1976年2月に着用が始まった。
【捜査1課】<br> 殺人や誘拐などの凶悪事件を扱う捜査1課のバッジは、刑事の間で「胸に着けることが誇り」と言われ、刑事ドラマで瓜二つのものが使われている。「団結」「根性」を表す朱色を下地に、金色で「S1S」の刻印がある。「奉仕する捜査1課員」を意味する「Search 1 Service」の頭文字を並べたものだ。ある捜査関係者は「Sousa 1ka Sousainの頭文字という説もある」と明かす。<br> 刑事部で最初のバッジとして1978年6月に導入された。配属されるたび新たに配布されるため、階級が変わるなどして複数回、捜査1課で勤務した捜査員は、複数のバッジを所有している。「Service」の「S」は後に「Select(選ばれし捜査員)」の思いも込められた。「バッジに恥じない捜査をする」との気概を示しているといい、全課員がスーツの左胸に着用し難事件に挑んでいる。
【交通機動隊指導員(本部用)】<br /> 交通機動隊の白バイ隊員らの指導に当たる警察官が制服の右胸ポケット上部に着用する。<br /> 金色のバッジは、白バイ隊員を養成する警視庁交通執行課の訓練所で指導に当たる警察官が着用する。白バイ隊員の中でも運転に関する知識、技能、指導力が優秀な警察官だけに着用が許されるバッジで、白バイ乗りにとって「輝かしい存在」という。<br /> 着用開始は1984年3月から。
【交通機動隊指導員(各隊用)】<br /> 交通機動隊の白バイ隊員らの指導に当たる警察官が制服の右胸ポケット上部に着用する。<br /> 銀色のバッジは、六つの交通機動隊と高速道路交通警察隊の計7隊で、所属する白バイ隊員の訓練にあたる指導員が着用している。<br /> 着用開始は1984年3月から。<br>
【機動捜査隊】<br> 事件発生の直後に現場へ駆け付け、初動捜査に当たる機動捜査隊。英表記「Mobile Investigate Unit」の頭文字を取り、「MIU」のアルファベットをあしらったバッジを着用する。描かれた三つの輪には「融和・団結・協調」の、稲妻には「鋭敏・的確・迅速」の意味がそれぞれ込められている。<br> 隊員から募集したデザインを採用し、1985年7月から着用するようになった。俳優でミュージシャンの星野源さんらを主演に、同隊を舞台とした人気テレビドラマでもたびたび画面に映し出された。
【鉄道警察隊】<br> ターミナル駅を拠点に、鉄道施設内でのスリや痴漢の取り締まり、不審者の警戒に当たる鉄道警察隊。1987年4月の発足以来、37年間にわたり、デザインを変えることなく、英表記「Railway Police」の頭文字「RP」を刻印したバッジを使っている。<br> 警察庁はかつて、このバッジを都道府県警に配布していた。その名残で、全国の鉄道警察部門は現在も同一デザインのバッジを使用している。
【交通捜査課】<br> ひき逃げや危険運転による事故を捜査する交通捜査課のバッジは、「冷静」を意味する紺色がベース。車輪をイメージした外周の円には「車輪のごとくエネルギッシュに悪路を乗り越える」との思いを込めた。<br> 中央に並べた「TID」は、同課の英表記「Traffic Investigation Division」の頭文字。複数の部署から警察官が集まる事故現場で、所属を明確にするため1990年8月から着用するようになった。
【機動隊長】<br> 機動隊の隊長は遅くとも1994年4月から専用のバッジを着用するようになった。直径2.2センチメートルで、中央に旭日(きょくじつ)が立体的にあしらわれている。隊長には金色が与えられる。<br> 交通機動隊、高速道路交通警察隊、航空隊、自動車警ら隊、鉄道警察隊の各隊長も同じバッジを着けている。
【機動隊副隊長】<br> 機動隊の副隊長も隊長と同様、遅くとも1994年4月から専用のバッジを着用するようになった。直径2.2センチメートルで、中央に旭日(きょくじつ)が立体的にあしらわれている。隊長の金色に対し、副隊長には銀色が与えられる。<br><br> 交通機動隊、高速道路交通警察隊、航空隊、自動車警ら隊、鉄道警察隊の各副隊長も同じバッジを着けている。
【手話技能職員】<br /> 耳の不自由な人のため、手話のできる警察官が1994年から着用している。手話技能試験で一定の技能が認められた職員に交付され、地理の案内や拾得物の取り扱い、被害届の受理などにあたる。<br /> 黄色、白、濃緑を配した直径27ミリのバッジは、全日本ろうあ連盟がデザインした。両手の人差し指を内側に向かい合わせた図案は、手話ができることを意味している。<br>
【交通事件特別捜査員】<br /> ひき逃げなどの交通事故を捜査するために設置される特別捜査本部に召集された警察官が着用するバッジ。<br /> 「STI」は、「Special Traffic Investigation(特別交通捜査)」の頭文字。青色に「清新な気持ち」、赤色には「燃えるような気概」との思いを込めた。ひき逃げに多い「犯人が不明であること」を右下の刻みで表現し、「事件を解決し、刻みのない四角に復元する」という決意を表している。1995年1月31日から着用されるようになった。
【交番所長】<br> 市民に最も身近な交番。責任者「交番所長」のバッジには、緑色の下地に、所長の文字と桜のマークが配されている。責任意識を明確にして士気を高めるとともに、地域住民に対し責任者であることを伝える目的もある。1997年11月に着用が始まった。
【統括係長・上席係長】<br /> 警察署の地域課や交通課のほか交通機動隊、自動車警ら隊など、制服で勤務する警察官の中で「統括係長」や「上席係長」に任命された者が着用する。統括係長や上席係長は、警察組織内の中堅幹部である「係長」(階級は警部補)の中でも指導的立場にあり、他の係長に指揮命令する。<br /> 旭日の中央部に筆記体であしらわれた「L」は、リーダーの頭文字で、指導者を意味している。1998年6月から着用するようになった。
【職務質問指導班】<br> 職務質問のスペシャリストとして署員らに技能指導をする職務質問指導班。「Police(警察)」の「P」をモチーフにした、同庁のバッジの中では珍しい形をしている。三日月部分は「Community(地域)」の「C」を、中央の「S」に似た形は「食らいついたら放さず獲物を倒すコブラ」をそれぞれイメージ。「S」には「Skill(技能)」や「Specialist(職人)」の意味も込められている。2001年7月に導入した。
【少年事件課】<br> 少年少女による事件の検挙や街頭補導活動などを行う少年事件課のバッジは、イメージカラーである小豆色がベース。中央上部の楕円型の円は成長過程の未成年の心を、これを覆うような白い線は保護者らの手のひらを、それぞれイメージした。保護者らとともに少年少女を支え、不完全な円を正円に近づけようとする努力を表現したといい、2003年1月から使われている。
【少年育成課】<br> 少年少女の非行防止や保護対策を担う少年育成課は、2003年4月からバッジを着用。「少年少女とその心を暖かく包み込んで育む」との思いを込め、中央に「U」を、その周辺に三つの点を配置し、「心」と「少」の文字をイメージした。<br> ベースの紺に「生命を育む深い海」の、金色の線と点、文字には「かけがえのない少年少女の姿」のイメージをそれぞれ込め、「生みの親のごとき深大な気持ちで少年少女を光り輝かせる」という意味を持たせた。同課の英表記「JUVENILE SUPPORT DIVISION」の頭文字も刻印されている。
【遊撃特別警ら隊】<br> 職務質問に精通した警察官で構成され、都内全域でパトロールに当たる遊撃特別警ら隊。バッジは、盾をかたどった中央部に、パトカーの赤色灯とボディーに使われている赤、黒、白の計3色が配され、「遊撃」の文字もあしらわれている。その左右に位置された金の翼は、2人1組でパトカーに乗る警察官の緊密な連携を象徴。「攻めの姿勢」「平和」の意味も込められている。2003年10月に着用が始まった。
【自動車警ら隊】<br> 繁華街や住宅街をパトカーで警戒して職務質問をしつつ、110番が入れば現場に急行して初動捜査にあたる自動車警ら隊のバッジは、遊撃特別警ら隊のものとデザインや配色がほぼ同じ。ただ、「遊撃」の文字に代わって管轄エリアを示す数字が中央に配され、その上部には「PATROL CAR」の文字が刻印されている点が異なる。着用開始は2003年。
【交通機動隊】<br> 白バイやパトカーで違反取り締まりや安全指導を行う交通機動隊のバッジは、2005年4月から着用されている。車輪を表す銀色の外周の中に、白バイ乗務員のシンボル「ウイングマーク」が描かれ、中心には隊の拠点地域を示す数字が刻印されている。(2024年11月09日)
【組織犯罪対策特別捜査隊】<br> 組織犯罪捜査を機動的に支援する組織犯罪対策特別捜査隊のバッジは、円状に配された青色の3本線で組織犯罪対策の英表記「Organized Crime Control」の頭文字「C」をイメージ。中央には特別捜査隊の英訳「Special Investigative Unit」の頭文字が刻印されている。隊員が融和団結して犯罪と戦うという思いを込め、2008年1月から着用するようになった。
【警察庁指定広域技能指導官】<br /> 職務質問や災害救助、取り調べなどの警察業務に関し、警察庁長官が「専門的で卓越した技能や知識がある」と指定した警察官が着用する。<br /> 指定は、警察庁の長官官房、生活安全局、刑事局、組織犯罪対策部、交通局、警備局、サイバー警察局の各部門ごとに行われており、それぞれ背景の色が異なる。2009年から着用が始まった。
【さくらポリス】<br /> 子どもや女性を狙った声掛けやつきまとい、公然わいせつなどを専門的に取り締まるさくらポリスのバッジは、もちろん「桜」がモチーフ。桜にかたどった金色と銀色は、日本の将来を担う「子ども」と美しく光り輝く「女性」をそれぞれ表している。外周には、子どもと女性の安全を意味する「SAFETY OF KIDS AND LADIES」と刻印されている。2010年から着用されている。
【サイバー犯罪対策課】<br /> 権限や許可なくコンピューターシステムに入り込む不正アクセスや、個人情報を盗み取る「フィッシング」の捜査にあたるサイバー犯罪対策課。宇宙に浮かぶ地球をイメージしたデザインのバッジは、国境のないグローバルな犯罪に毅然(きぜん)と対処する姿勢を表現した。同課は2011年に発足したが、バッジは前身の「ハイテク犯罪対策総合センター」が使っていたものを受け継いだ。
【SSBC】<br /> 防犯カメラや通信機器の高度な解析などを担う捜査支援分析センターのバッジは、職人気質を表すつや消しの銀色をベースに、「Sousa Shien Bunseki Center」の頭文字が金色に並ぶ。<br /> 正円が多い同庁のバッジの中では珍しい横長の長方形。同センターが日常的に扱うコンピューターや携帯電話、防犯カメラの形をイメージした。センター創設5周年の式典が行われた2015年2月から着用している。
【捜査共助課】<br /> 雑踏の中に指名手配犯を見つけ出す「見当たり捜査」などをする捜査共助課のバッジは、英表記「Criminal Investigation Liaison Division」の頭文字が金色で刻印されている。字体は課員の家族がデザインした。<br /> 2022年4月に着用が始まり、文字や円には「努力と成功」の、ベースの紫紺色には「矜持(きょうじ)と団結」の思いをそれぞれ込めた。
【国際犯罪対策課】<br /> 外国人犯罪を取り締まる国際犯罪対策課のバッジは「深い海の色と国際性」をイメージした紺色をベースに、地球を模した球体と、英表記「International Crime Division」の頭文字が刻印されている。歴史は比較的浅く、課員がデザインし、2023年6月から着用されている。<br /> かつては外国人犯罪を取り締まる組織犯罪対策一課(旧)が通称「瑠璃色バッジ」を、同二課(旧)が通称「ICIDバッジ」をそれぞれ使っていた。両課が2023年4月に国際犯罪対策課へ統合されたため廃止され、新たに現在のバッジが誕生した。(2024年01月09日)

 会社員がスーツに付ける社章と同じように、首都・東京の治安を守る警視庁にもバッジがあるのをご存じだろうか。警視庁のバッジは社章と違い、所属先や職務によってデザインや配色が大きく異なる。職場の一体感や士気を高める目的で、戦後間もないころに導入が始まった。組織改編で新たに誕生したり廃止されたりを繰り返し、2024年4月時点で約40種類が現存するという。
 「捜査上の理由で詳しい説明や写真の提供ができない」(同庁)ものを除き、警視庁創設150年に併せ、このほど35種類のバッジの取材が時事通信社に認められた。初めて報道公開されるものから映画やドラマで「おなじみ」のもの、75年の歴史があるものから誕生2年のものまで多種多様だが、その重みはどれも同じ。警察官はきょうも誇りと使命感が詰まったバッジを胸に、地域の安全と安心を守っている。

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