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ツキノワグマの目撃件数が、東北6県では今年度上半期だけで計5839件に上ることが分かった。この10年で最多。うち5県は年間最多件数も既に超えた。専門家は、餌となる木の実の結実量だけでなく、地方の過疎化や高齢化も関係しているとみている。
青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の6県で、県や県警がまとめた目撃件数を集計した。福島と2009年度までの宮城は、足跡などの痕跡も目撃件数に含めている。今年4~9月で最も目撃が多かったのは岩手の2873件で、1年間を通じた件数が過去最多だった12年度の2357件を上回った。宮城839件、秋田832件と続き、やはり過去の年間最多件数を超えた。今年5~6月にクマに襲われたとみられる4人が死亡した秋田では、上半期で、過去最多だった12年度通年の倍近くに達しており、岩手とともに、大量出没による人的被害発生の恐れがあるとして今年、「ツキノワグマ出没に関する警報」を初めて発令。住民に注意を呼び掛けている。
目撃は1年ごとに増減を繰り返す傾向がある。ツキノワグマの生態を研究する森林総合研究所(茨城県つくば市)研究調査官の大西尚樹さんによると、同様に1年ごとに豊凶を繰り返すブナの実の量が影響しているという。「去年は実が豊作で、子を産んだ雌が多かった。今年は親が子を育てるため餌を求め広く動き回った可能性がある」と分析するが、なぜ今年これほど多いかは「分からない」と首をかしげる。地方の過疎化や高齢化により、人が住む地域に近い「里山林」の放置や耕作放棄地が増えたことも一因とみられる。大西さんは「里山林の放置や耕作放棄で下草が伸びるとクマは身を隠して移動しやすくなり、その近くにある果実や野菜の農地が魅力的な餌場となる」と説明する。過去のデータから10月以降は目撃は減少するとみられるが、大西さんは「クマは嗅覚が発達している。ごみ出しは当日朝にしたり、隠れる場所をなくすためやぶを刈ったりといった対策が必要だ」と話している。