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旧ソ連時代の1982年から89年にかけ3隻が建造された。水上打撃力を重視した点はキーロフ級原子力ミサイル巡洋艦と同じだが、船体を小型化し、機関をガスタービンエンジンとした簡易版と言える。戦力と運用コストのバランスが取れているらしく、2021年時点で3隻すべてが現役にあり、モスクワはその1番艦(竣工時の名称は『スラヴァ』、ソ連崩壊後に改名)で、ロシア海軍黒海艦隊の旗艦を務めていた(22年4月、爆発炎上し沈没)。
船体サイズは全長186.4メートル、全幅20.8メートル、満載排水量1万1674トンと、排水量はキーロフ級の2分の1にとどまる。その分、武装もスペックダウンしており、主兵装はSS-N-12長距離対艦巡航ミサイルで、キーロフ級のSS-N-19より1世代古く、VLSには対応していない大型のものとなった。スラヴァ級は、SS-N-12の連装発射管を両舷に4基ずつ配置しており、いかにも重武装という印象を醸し出している。このほか、SA-N-20長距離対空ミサイル(SAM)用VLSを64基(8連装式8基)、SA-N-4ゲッコー(ロシア名「4K33オサーM」)短距離対空ミサイル(短SAM)連装発射筒8基、RBU6000対潜ロケット12連装発射機2基、533ミリ魚雷5連装発射管2基、130ミリ連装砲1基、30ミリ近接防御システム(CIWS)6基を搭載する。
機関はガスタービンエンジン6基を組み合わせたCOGAG方式で、10万8000馬力を発揮、最大速度は32ノットに達する。艦尾に飛行甲板と格納庫を備え、Ka27汎用ヘリコプターを1機搭載できる。写真は2013年8月撮影 【EPA時事】