デザインだけでなく走りも魅力
イタリア最大の自動車メーカー「フィアット」が手掛ける初の本格的電気自動車(EV)「500e」が輸入車試乗会に登場した。「チンクエチェント」の名で親しまれ、人気アニメ「ルパン三世」に登場する「500」の最新モデルだ。
500eは2020年に発表され、日本では22年6月に販売が始まった。登場から約2年で、30を超える賞を欧州各国で獲得。ボディーは小型ながら、大物感が漂う。
販売が続くガソリン車500と共通する部品はわずか4%で、ほぼ新設計の500e。42kWhのバッテリーパックを収容するため、ボディーサイズが拡大され、幅に至っては60mmも広くなった。設計担当者は、「駐車を含むシティーユースに適切なサイズに収める制約とのせめぎ合いがあった」という。その苦労のかいもあって、取り扱いやすいサイズながら、最大航続距離は335kmに及んでいる。
車両タイプは、3ドアハッチバックと電動開閉式ソフトトップを備えたカブリオレの2種類。チンクエチェントはその愛らしいフォルムから世界的に愛好家が多く、米ニューヨーク近代美術館では永久所蔵品にもなっているが、500eは歴代モデルの特徴をモチーフにしつつ、近未来感のあるフォルムに仕上げられている。
にらみを利かせたようなヘッドライト、頬のようなウインカー、大笑いした口のようなグリル。CGキャラクターのようにも見えるフロントフェースは類がなく、一度見たら忘れないほどインパクトが強い。デザイン系での受賞が多いのに納得がいく。
内装は遊び心が満載。フロントシートは「FIAT」のロゴがモノグラムでステッチされ、その様子はまるで高級ブランドのバッグだ。スマートフォン用のトレーにはフィアットが本社を置くトリノの街並みが描かれ、ほとんど目立たないドアハンドルの底面にも「Made in Torino」の文字と、初代チンクエチェントがあしらわれている。おしゃれなデザインで彩られる中、スポーティーなイメージのカーボン柄がダッシュボードを覆っていたのは、少し違和感を覚えたが、運転したら合点がいった。
500eは動きだすと、全長3630mm、全幅1685mmとコンパクトなので、やはり運転しやすい。ステアリングとアクセルぺダルは軽く、アイポイントも高くて視野が広い。広報担当者から、「販売のターゲットは女性」と聞いていたが、それもうなずける。
一方、車重は約1.3tと軽い割に、最高出力118PS、最大トルク220Nmとパワフルなモーターを搭載している。高速道路に入り、アクセルをベタ踏みすると、500eの本領が発揮された。そのフォルムに似つかわしくない鋭い加速が現れたのだ。まるで「羊の皮をかぶった狼(おおかみ)」。前を走る最高出力500PSのポルシェ「718ケイマンGT4 RS」が爆音を響かせスピードを上げても全然離されていない。
コーナリング性能もグッドだ。オーバースピードでカーブに入っても、わずかに車体はきしむがしっかり曲がってくれる。デザインが優れているだけで、こんなに売れるものかと思っていたが、なるほど理由が分かった。走りも魅力的なのだ。
走行モードは3種類ある。走りだしは、ガソリン車のように運転できる「ノーマル」だったが、回生ブレーキが強い「レンジ」にモードを変えると、アクセルペダルを離しただけでブレーキをかけたような強い減速効果が得られる、いわゆるワンペダルのドライブとなった。このほか、航続距離を最大化できる「シェルパ」も用意され、時速80km以下に抑え、さらにエアコンも止めることで、電費効率を高めてくれる。
欧州連合(EU)では、EVに車両接近通報装置(AVAS)の搭載を義務付けており、500eにも備わるが、イタリア人作曲家による心地良いメロディーも特長の一つだ。警報と自動ブレーキでドライバーを支援する「衝突被害軽減ブレーキ」や、ステアリングを制御して車線維持を補助する「レーンキーピングアシスト」、死角の車両を知らせるブラインドスポットモニターなど、安全運転支援機能も充実している。
試乗会ではさまざまなタイプのEVを運転したが、自分のフィーリングに一番合ったのは500eだ。特に、軽快な走りが気に入った。サスペンションはもう少し柔らかくても、と思うのは欲張り過ぎか…。
500eはリース契約のみの販売となっており、試乗した「オープン」の価格は520万円。税金や整備点検費用を月額定額支払いに含んだサブスクリプション型も用意されている。
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