日銀総裁の条件は「通貨マフィアに顔が利くこと」 “ポスト黒田”最有力候補に浮上した男とは?

森岡 英樹 2019年12月17日

 アジア開発銀行(ADB)次期総裁に内閣官房参与の浅川雅嗣・前財務官(61)が選出された。中尾武彦総裁の後任で来年1月に就任する。

浅川雅嗣氏[アジア開発銀行次期総裁]=アジア開発銀行提供

 ADBは1966年の創設以来、米国と並んで最も出資している日本が10代続けて総裁を輩出している。

 今回の総裁選に出馬したのは浅川氏のみで、事実上無投票で選出された。

 浅川氏は静岡県生まれ。1981年に東大経済学部を卒業し、大蔵省(現財務省)に入省。プリンストン大に留学し、国際通貨基金(IMF)への出向も含め、国際金融や租税畑を歩んだ。2008年に麻生太郎総理(当時)秘書官を務め、11年には日本人として初めて経済協力開発機構(OECD)租税委員会の議長に就き、15年に財務官に昇格した。

「麻生財務大臣の懐刀で、財務官は通常1、2年で交代するが、異例の4年に及んだ。サービス精神が旺盛で、海外の金融当局者や中央銀行関係者からも慕われています」(財務省関係者)

 幼い頃にモーツァルト「フルート四重奏曲」に魅せられたという浅川氏。中高時代にブラスバンドで鍛えたフルート演奏で、海外要人が集まる場を盛り上げてきた。

「OECD租税委員会議長時代には初の幹部会議をパリ郊外の古城で開催。ディナーでは日本からカラオケCDを持ち込み、フルート演奏を30分間も披露し、喝采を浴びました」(同前)

 17年5月に横浜市で開催されたADBの年次総会でも、ホスト役としてフルート演奏を披露している。

 

次期日銀総裁の条件とは?

 そんな浅川氏には、早くもこんな声があがっている。

「次期日銀総裁の条件は、通貨マフィアの中で顔が利くこと。浅川氏はその最有力候補であることは間違いない」(大手金融機関トップ)

 黒田東彦・日銀総裁(75)も、浅川氏と同じく財務官、ADB総裁を歴任した。

「黒田氏は当初ダークホースだったが、最後は通貨マフィアとしての顔の広さと海外要人とのコミュニケーション力が決め手となりました」(市場関係者)

 近年、日銀総裁は日銀出身者か財務省OBが就いてきた。浅川氏とともに有力視されるのが、雨宮正佳・日銀副総裁(64)。浅川氏とは、為替が急変動した際の緊急会合でよく顔を合わせた間柄でもある。

「雨宮氏は日銀生え抜きのエースで、若い頃から海外の中央銀行関係者や金融機関幹部と親交を深めてきた。下戸だが、政治の人脈もあり、野心家です。一方で、家族を看病するために閑職異動を願い出た、情の人でもある」(日銀関係者)

 黒田総裁の任期は23年4月まで。早くもポスト黒田レースの号砲が鳴った。

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