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伝統の「揚げ浜式」製塩が窮地 地盤隆起、海水くみ上げ困難―再開見通せず・能登地震

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揚げ浜式の塩田=1月30日、石川県珠洲市

揚げ浜式の塩田=1月30日、石川県珠洲市

  • 地盤が隆起し、海底が露出し海水のくみ上げが困難になった海岸=1月30日、石川県珠洲市

 能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市で、「揚げ浜式」と呼ばれる伝統の塩作りが窮地に立たされている。地盤の隆起で海底がむき出しになり、海水のくみ上げ作業が困難となったほか、断水で工場の掃除などもままならないという。事業者は「(再開は)考えられる状況ではない」と危機感を募らせ、市の商工会議所も「産業として残したい気持ちはあるが、先々のことは全く分からない」と話す。

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 揚げ浜式製塩は、くみ上げた海水を「塩田」と呼ばれる砂浜にまき、塩分濃度を高めた「かん水」を釜でたく伝統製法。現在は珠洲市内でごく少数の事業者が行っているのみだが、2008年には国の重要無形民俗文化財に指定された。NHK連続テレビ小説「まれ」でも塩作りが描かれ、認知度が高まった。

 「これだけ海が干上がると、きつい面がある」。「奥能登塩田村」(同市)の男性従業員(56)は肩を落とす。地震による海底の隆起で海岸が遠ざかり、塩作りに欠かせない海水のくみ上げが困難になった。かん水をためていたタンクも土台から落ちて傾いていたという。

 従業員の多くが避難所などに身を寄せるが、交通状況は改善されず、通勤も思い通りにならない。同社の石田尚史社長(66)は「塩田は人がいないと成り立たない。道路もまともに通っていない中で、再開など考えられる状況じゃない」と話す。今は、国の補助金などを活用しながら、従業員の生活を守る考えという。

 先が見通せず、廃業する事業者が出る恐れもある。商工会議所は「現場の状況も分からない。役所の支援などにもよるが、今後どうなるのか」と不安げに話す。市も今後の支援などについて、「今は何も決まっていない」と説明している。

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