一山本、前への意識 単独トップ、勝ち越し一番乗り―大相撲九州場所
2023年11月20日21時10分
これまでの反省から、一山本は心に決めていた。「思い切り当たって、手を伸ばして前に出ていこう」。馬力自慢の実力者、玉鷲をもろ手で起こして圧倒。何もさせずに土俵下に追いやった。
中大時代には、稽古で胸を出してもらったことがあるという。大ベテランから4度目の挑戦で初白星。1敗の単独トップを守り、今場所の好調ぶりを象徴するような快勝だった。
地元・北海道の福島町役場での勤務を経て、角界入りした異色の経歴の持ち主。引いてしまう悪癖があり、幕内ではなかなか安定した成績を残せずにいた。
転機は十両に転落して迎えた7月の名古屋場所。左膝のけがで途中休場し、師匠の放駒親方(元関脇玉乃島)は「四股が足りていない」と指摘。一念発起して下半身を徹底的に鍛え上げ、馬力をつけた。それが自信にもつながり、先場所は13勝2敗で十両優勝。返り入幕を果たした。
その勢いのまま、今場所は幕内での勝ち越し一番乗り。「2桁勝てるように、また頑張る」。成長した30歳が土俵を盛り上げる。