岸田首相弔意、政教分離で波紋 政府「前ローマ教皇にも」―池田氏死去
2023年11月20日20時30分
岸田文雄首相が宗教法人・創価学会の池田大作名誉会長の死去に弔意を示した対応が波紋を広げている。SNS上では憲法が定める政教分離と関連付けて疑問視する意見が続出。松野博一官房長官は20日の記者会見で「個人としての弔意」と説明し、問題はないとの認識を示した。
首相は18日、自身のX(旧ツイッター)に内閣総理大臣の肩書を添えて「深い悲しみに堪えない。国内外で平和、文化、教育の推進に尽力し、歴史に大きな足跡を残された」と投稿。自民党総裁としても同じ内容のコメントを出した。
19日には東京・信濃町にある創価学会本部別館を弔問に訪れ、原田稔会長らと面会。現職の首相が学会施設を訪れるのは異例だ。池田氏は学会を支持母体とする公明党の創立者で、連立政権を組む同党に配慮したとみられる。
SNSでの指摘に対し、松野氏は「個人として哀悼の意を表するため、首相個人のアカウントで弔意を示した」と強調。昨年12月に前ローマ教皇ベネディクト16世が死去した際も首相は弔意を表したと説明した。
自民党中堅も「問題ない」と擁護。立憲民主党は、泉健太代表名で弔意を示すコメントを発表しており、特段問題視していない。立民幹部は「創価学会の政治への近さは、他の宗教法人とは全然違う」と述べ、首相の対応に影響したとの見方を示した。
憲法20条は「国やその機関が宗教的活動をしてはならない」、同89条は「公金を宗教上の組織のために支出してはならない」と規定。国家が特定の宗教と関わるべきではないとする政教分離原則の根拠となっている。