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記事対価見直し、世界で拡大 民主主義衰退に懸念―巨大ITに収益分配要求・ニュースポータルサイト

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米巨大IT各社のロゴ=2020年12月、ロンドン(AFP時事)

米巨大IT各社のロゴ=2020年12月、ロンドン(AFP時事)

 【シリコンバレー時事】ニュース配信を手掛ける巨大IT企業に対し、報道機関への公正な対価の支払いを求める規制が世界で広がっている。背景には、巨大ITがプラットフォームに掲載された記事から得る広告収入を適正に分配していないとの不満がある。日々の情報を伝える報道機関の窮状は、民主主義の衰退につながるとの懸念も強まっており、各国政府・議会が動いている。

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 「カナダではフェイスブック(FB)などで記事が読めなくなる」。6月、カナダ議会が巨大ITに報道機関への対価支払いを義務付ける「オンラインニュース法」を成立させると、FBやインスタグラムといったSNSを手掛ける米メタはニュース配信の停止を発表した。検索サービスを運営する米グーグルも追随する構え。業界の反発の強さが浮き彫りになった。

 カナダでは2008年以降、経営難により470超の報道機関などが閉鎖に追い込まれた。メタとグーグルだけでデジタル広告の8割近くのシェアを握る中、SNSへの記事リンクの貼り付けや、検索によるニュース表示はデジタル広告収入に寄与しており、閲覧に見合った収益分配がなされていないとの批判が高まっている。

 オーストラリアでも21年、「デジタルプラットフォームは著しい交渉力の不均衡から利益を得ており、これに対処することは報道業界の持続可能性を支援するために必要だ」(豪政府)として、カナダと同様の法案を連邦議会が可決した。ただ、メタは可決直前、ニュース配信を1週間制限する措置で対抗。豪議会・政府は、報道機関と対価に関して合意できれば規制対象から外すよう修正し、メタは制限を解いた。

 一方、欧州連合(EU)では19年、著作権指令が改正され、報道機関が巨大ITに記事使用料を要求できるようになった。これを受け、グーグルは15カ国1500以上の出版物に関しライセンス契約を結び、収益を一定程度分配している。

 デジタル化の進展に伴い、読者の記事との接点は変わりつつある。ピューリサーチセンターの調査(22年)によると、米国では、スマートフォンなどの端末でニュースを閲覧する頻度が「頻繁」「時々」で計8割だったのに対し、紙は3割にとどまった。

 厳格な対価規制に踏み切ったカナダでは、メタの配信停止により、フェイスブックなどで山火事に関する記事を読めなくなる問題も発生した。報道機関も読者を検索やSNSからの流入で獲得している面があり、巨大ITとの対立が不利益につながる恐れもある。

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