「量子ドット」の3氏に ノーベル化学賞、米欧出身―事前情報通り
2023年10月04日20時51分
スウェーデン王立科学アカデミーは4日、2023年のノーベル化学賞を、ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの半導体結晶「量子ドット」の発見、開発に貢献した米マサチューセッツ工科大のモウンジ・バウェンディ教授(62)、米コロンビア大のルイ・ブラス教授(80)、ロシア出身で米民間企業所属のアレクセイ・エキモフ博士(78)の3氏に授与すると発表した。
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量子ドットはその小ささから、量子効果と呼ばれる通常とは異なる振る舞いを見せる。エキモフ博士は1981年、ガラスに含まれるナノサイズの微細な結晶に量子効果が生じ、その大きさに応じて吸収する光の波長が変化することを発見。ブラス教授も同様の現象を見つけた。
さらに、バウェンディ教授は93年、高品質なナノ結晶を成長させる技術を開発。この技術を基にした正確な色を出す発光素子がテレビなどに応用されているほか、照明にも使われている。このほか、腫瘍組織の追跡や太陽電池、量子暗号通信などへの応用も期待されるという。
化学賞発表を巡っては、同アカデミーからのメールが予定の約4時間前に、スウェーデン国内の報道機関に誤って送られていたことが判明。バウェンディ教授ら3人の氏名が事前に報じられていた。