着地への執念で逆転 橋本「人生で一番」―世界体操
2023年10月04日08時14分
全員が肩を組んで最終順位を確認した日本男子が、人さし指を突き上げて感情を爆発させた。五輪を含め、萱以外が初めて味わう団体世界一の味。「やっとだ…。何年間も、これだけを待っていた。人生で一番うれしい金メダル」。体操ニッポンのエースとして何度も悔しさをかみしめてきた橋本が、万感を込めた。
日本伝統の美しい体操を象徴する「着地」で、逆転劇を呼び込んだ。初代表の千葉が序盤のゆかとあん馬で得点を伸ばせず、前半は暫定4位。漂い始めた重い空気を吹き飛ばしたのが後半最初の跳馬だった。萱と橋本が着地をうまくまとめ、南はピタリと止めて15.000点の高得点。ここで首位に浮上すると、平行棒と鉄棒は演技した3人とも着地が動かなかった。
平行棒を任された杉本は「意地でも動くまいと思った」。鉄棒でマットに足を吸い付かせた橋本は、「止まる感覚がすごくした」というほど神経を研ぎ澄ませていた。
ライバル中国は主力の一部がいない状況で、百戦錬磨の内村航平コーチは「勝たないといけない状況で勝つのは、一番難しい」とチームに言い聞かせていた。重圧を乗り越え、実力を示した末の栄冠。来夏のパリで2大会ぶりとなる五輪のタイトル奪還を目指す日本にとって、これ以上ない弾みとなった。(アントワープ時事)