熱戦は画面の中でも eスポーツ、ついに正式競技―アジア大会
2023年10月03日15時25分
【杭州時事】杭州で開催中のアジア大会は伝統競技が盛り上がりを見せる中、コンピューターゲームで競い合う「eスポーツ」も、今月2日の競技終了まで熱戦を繰り広げた。前回大会では公開競技の扱いだったが、今回初めて正式競技として採用。他の会場に劣らない注目を集めた。
杭州eスポーツセンターは今大会のために260億円以上をかけて建てられた。メイン会場は中央に大きな円形のステージがあり、重低音や照明を駆使した演出で近未来的な雰囲気が漂う。座席下には空気口を設置し、隣接する公園に咲くモクセイの花の香りを取り込む仕組みになっている。9月23日の開会式でも見られたように、中国の誇る技術を存分に生かした形だ。
「アスリート」たちは画面上で相手としのぎを削り、対戦の様子は中国語の実況とともに大型スクリーンに投影。一般客が実際にゲームを体験できるエリアもあった。大会組織委員会の関係者は「新しい技術がたくさん使われている。多くの若者がアジア大会に参加できるようになるのは良いこと」と話す。
eスポーツは世界的に若者の支持が高い。国際オリンピック委員会(IOC)は今年6月にシンガポールで対面による初の世界大会を開催するなど、将来的な五輪競技採用を見据えた動きもある。愛知県と名古屋市が共催する次回2026年大会も含め、アジア大会で正式競技となったことは大きな一歩だ。
ただ、スポーツとして扱っていいかどうかなど、懐疑的な見方が残るのも実情だ。今大会の日本代表、高井大選手(FENNEL)は「子どもの遊びの延長だと言われることもあるが、熱い試合を見せてeスポーツの地位が向上すればいい」。競技の魅力を感じ、理解を深めるきっかけになることを望んでいる。