流れ引き戻した芦川 悔しさ忘れず大仕事―世界体操
2023年10月03日07時30分
「みんなで粘り強く行くぞ」。日本は深沢主将のかけ声で気合十分に入場し、最初の跳馬で全員が見事な演技を披露した。だが、段違い平行棒と平均台で落下のミス。パリ五輪切符獲得へ暗雲が立ちこめる中、流れを引き戻したのが平均台の最後を託された芦川だった。
冒頭に後転跳びで器具に上がる難しい技を決めると、加点が付く連続技を次々と成功。最後はF難度の3回ひねり下りをぴたりと決めてガッツポーズ。ふらつきを抑えてチームトップの14.000点をマークし、パリへの道を切り開いた。
2年前に種目別平均台を制したが、昨年は補欠。「悔しい思いはずっとあった」。観客席で応援する自分の写真をあえて見ることで日々のモチベーションを高めた。努力が実り、「戻ってくることができた。本当に緊張したが、この場を楽しめた」と笑みを浮かべた。
1種目のみの出場ながら、最も大事な場面で大仕事を果たした。田中光強化本部長は「あそこが本当に決め手だった」。
最後のゆかを終えて会場のモニターに日本の順位が表示された瞬間、もう一つの目標だった団体総合の決勝進出も確定。重圧から解放されたメンバーは、涙と笑顔で喜びを分かち合った。(アントワープ時事)