海上の脅威に備え NATO、無人機で演習
2023年10月02日20時29分
【トロイア半島(ポルトガル)時事】ロシアによるウクライナ侵攻開始後、重要インフラの破壊や漂流機雷の使用といった海上の安全を脅かす事態が起き、対策の強化が急務になっている。北大西洋条約機構(NATO)は9月、そうした脅威を想定し、無人潜水機などを用いた演習をポルトガルで実施。その様子を一部メディアに公開した。
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今回の演習「ダイナミック・メッセンジャー23」は9月18~29日、ポルトガル南西部トロイア半島の周辺海域で行われた。多様な規格の無人技術を従来戦術に組み込むことが主な目的。漂流機雷や潜水艦の位置特定といった具体的なシナリオの下、データの収集や分析に重点を置いた。
26日には演習の指揮管制施設が報道陣に公開され、無人艇や偵察ドローンの実演も行われた。演習に携わったフランス軍のローレン・リオウ中佐は、機雷敷設の疑いがあるだけで石油や穀物の海上輸送が滞り、市場価格など「世界中に及ぼす影響は容易に想像できる」と指摘。海上安全保障の重要性を強調した。
ウクライナ侵攻では、双方が多数のドローンを投入し「戦闘の無人化」が加速している実態が示されている。NATOも演習を通じ、進展著しい無人技術の実装に本腰を入れる構えだ。
演習には、米国やドイツなどNATO加盟国14カ国や産学関係者ら約2000人が参加。NATOが連携を強化するインド太平洋地域からは、日本と韓国、ニュージーランドがオブザーバーを派遣した。NATOは昨年、類似の演習を初めて行っており、次回は2025年を予定している。