世界選手権の激闘、再び 早田、決勝では力負け―アジア大会・卓球
2023年10月01日23時00分
バックハンドがクロスに決まると、早田はしゃがみ込んで喜びに浸った。互いに一歩も譲らず、フルゲームを戦い抜いた女子シングルス準決勝の王芸迪戦。まるで5月の激闘の再現のようだった。
世界選手権の準々決勝で王芸迪を破った際には、最終ゲームで21―19まで続くジュースにもつれ込んだ。バック対バックで活路を開いた当時とは異なり、今回は序盤から相手のフォア側にも散らした。「中国選手とやるときは、相手の力をいかに引き下げるかが大事」。世界ランキング4位のミスを誘った。
1時間21分に及ぶ意地のぶつかり合い。王芸迪が鋭い角度にバックを決めれば、早田も回り込んで強烈なフォアハンドを見舞う。ゲームカウント2―3で先にマッチポイントを奪われながらも巻き返し、「勝ち切ることができてよかった」。最後にコートで笑った。
準決勝の疲れもあり、決勝ではさすがに早田の動きは重かった。相手は過去10戦全敗の孫穎莎。打球のコース、威力とも群を抜く相手に押され、1ゲームを返すのが精いっぱいだった。
力負けとはなったが、「刺激を多くもらった。私が強くなる上で孫穎莎選手の存在は大きい」と早田は言った。手応えも悔しさも染み込んだ銀メダル。来年のパリ五輪に向け、また歩みを加速させる。 (時事)