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第1号・芸備線が試金石 再構築協議会、活用様子見も―JR各社

2023年10月01日07時05分

【図解】ローカル線再編を巡る自治体の協議状況

【図解】ローカル線再編を巡る自治体の協議状況

  • 芸備線・備後落合駅に停車するJR西日本の車両=2021年12月30日、広島県庄原市

 不採算ローカル鉄道の再編について、国関与の下で自治体と鉄道会社が話し合う「再構築協議会」制度が10月1日、導入される。大幅赤字にあえぐJR各社は国主導で再編を促す仕組みを歓迎するが、実際の制度活用には様子見姿勢が大勢。まずは協議会設置第1号となる見通しの芸備線(広島県―岡山県)が試金石だ。

ローカル線再編、国が協議会 改正交通再生法が1日施行

 「JR西日本だけで解決していくのは難しい」。長谷川一明JR西社長は9月28日の記者会見で、ローカル鉄道の存廃問題は自治体も一緒に考えるべきテーマだと強調。芸備線の再構築協議会設置を速やかに国に要請する意向を改めて示した。
 芸備線を巡っては、沿線自治体が「廃線ありき」の議論を警戒、再編協議を拒んできた。新制度では、設置要請を受けた国が通知すれば自治体側は原則協議に応じなければならず、広島県の湯崎英彦知事も「やたら拒否はできない」と認める。
 ただ、湯崎氏は、仮にバス転換などの結論に至る場合も、JRの協力継続や地元への負担転嫁回避が必要だと訴える。難航は必至で国の行司裁きが焦点となる。
 もっとも、JR各社は任意協議を優先するのが基本姿勢で、半ば強制的に協議の場につかせる新制度の活用は、当面は「非常手段」(業界関係者)に限られそうだ。
 JR西は木次線(島根県―広島県)や大糸線(新潟県―長野県)でも再編協議を呼び掛けており、自治体側が応じれば協議形式は「ケース・バイ・ケース」(長谷川氏)で臨む構え。自治体が任意の検討会を自ら設けた富山県の城端線・氷見線には先行事例として特に期待を寄せる。
 JR東日本は今年、豪雨被害で一部不通となっている津軽線(青森県)と米坂線(新潟県―山形県)のほか、通常運行中の久留里線(千葉県)でも自治体との任意協議を始めた。深沢祐二社長は「話し合いを進めながらどう活用するか考えていく」と、新制度活用は急がない姿勢だ。
 豪雨に伴う一部不通が続く九州南部の肥薩線(熊本県―鹿児島県)などを抱えるJR九州は「社内でまずは方針を決める」(古宮洋二社長)と慎重で、JR四国も「いきなり再構築協議会の考えはない」(西牧世博社長)との立場。不採算路線再編で先行してきたJR北海道は現行の任意協議を続ける。

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