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シリア情勢、中国が存在感 アラブ諸国が介入期待か―人権監視団代表インタビュー

2023年09月30日20時30分

インタビューに答える在英のNGO「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラフマン代表=9月26日、カイロ近郊ギザ

インタビューに答える在英のNGO「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラフマン代表=9月26日、カイロ近郊ギザ

 【カイロ時事】内戦下のシリアの状況について反政権の立場から伝えている在英のNGO「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラフマン代表が時事通信のインタビューに応じ、シリアでは民兵組織が各地で力を保ち、アサド大統領の統治が不安定な状況にあると強調した。近隣のアラブ諸国は民兵が力を増して体制が一層不安定化することを懸念しているが、直接関与には及び腰で、アサド政権との関係強化を進める中国が状況に介入できる「唯一の存在となっている」と語った。

中国主席、シリアと「戦略パートナー」 首脳会談、国際社会復帰後押し

 インタビューは9月26日、カイロ近郊ギザで行われた。監視団はシリア内外に幅広い情報網を張り巡らせ、シリアの人権状況を監視し、記録・発信している。
 アサド氏はアジア大会開会式に出席するため訪中し、22日に浙江省杭州市で習近平国家主席と会談。両首脳は「戦略的パートナーシップ」樹立を表明し、習氏は2011年から続くシリア内戦の復興援助などを申し出た。
 アブドルラフマン氏は、アサド政権は国土の大半を掌握したとされるが、実際に各地を支配しているのはイランなどが後ろ盾の民兵組織であることが多く、アサド氏の影響力は限定的だと指摘。「近隣国は体制弱体化で、過激派などが流入することを危惧している」と語った。
 アラブ連盟は5月にシリアの参加資格を復活させ、関係を再開。アブドルラフマン氏によれば、アラブ諸国はアサド政権に対し、イラン系民兵の撤退や反体制派との対話などを求めたが、連盟復帰でアサド氏は自信をつけており、働き掛けは失敗した。アラブ諸国は欧米がアサド政権に科す制裁に巻き込まれることを恐れ、関与の仕方にも注意を払っている。
 これまでシリアを支援してきたロシアはウクライナ侵攻で体力を奪われている。そこでアラブ諸国はシリアのほか、イランとも関係の深い中国に、アサド政権が崩壊しないよう支援しつつ、圧力をかけるよう依頼したとアブドルラフマン氏は解説した。ただ、こうした措置は「体制崩壊よりも体制維持の方がまだ良い」という考えに基づいており、同氏は「シリア危機の根本的な解決にはならない」と警告した。

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