貴金属の強引買い取り増加 金相場高騰が影響か―国民生活センター
2023年10月01日07時09分
業者が高齢者らの自宅を訪れ、指輪などの貴金属を強引に買い取る「訪問購入」を巡るトラブルが増えている。金相場の高騰などが背景にあるとみられ、国民生活センターは「相場より安く買いたたかれるケースもある。希望しない買い取りはきっぱり断って」と呼び掛けている。
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全国の消費生活センターに寄せられた訪問購入に関する相談で、最も多かったのは指輪やネックレスなどアクセサリー絡みで全体の2割を占めた。2019年度の991件から増え続け、22年度は1575件に上った。
一方、19年に1グラム当たり5000円前後だった金の小売価格は、今年8月に1万円を突破。国民生活センターの担当者は、相場急騰で「買い取り業者が営業を活発化させているのでは」と話す。
訪問購入全体の相談件数も20年度以降、増加傾向で、新型コロナウイルス禍で高齢者らが家にいる機会が増えたことも影響した可能性があるという。
60代の女性は、自宅に「寄付のため不用品を買い取る」との電話があり、靴などを引き取ってもらおうと訪問を了承した。業者は自宅に来るなり「貴金属はないか。査定だけさせて」と譲らず、長時間居座ったという。女性は断り切れず、複数の貴金属を計1万円で買い取られた。
業者が交付する書面に購入品の数や種類、価格などが正確に記載されていないとの相談も多い。クーリングオフが適切にできない恐れがあり、担当者は「不十分な書面を出す業者とは契約しないで」と話している。