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総裁再選、支持率が左右 残り1年、岸田首相「長期政権」懸け

2023年10月01日07時09分

首相官邸に入る岸田文雄首相=9月29日、東京・永田町

首相官邸に入る岸田文雄首相=9月29日、東京・永田町

 岸田文雄首相の自民党総裁任期が9月30日で残り1年となった。長期政権を目指す首相にとって、総裁選での「再選」は絶対条件。9月の内閣改造で「ポスト岸田」の顔触れを政権内に囲い込んだことで、対抗する動きは今のところ見られない。ただ低迷する内閣支持率に反転の兆しは見えず、道のりは視界不良だ。

岸田首相「解散風」沈静化が狙いか 与野党に疑念くすぶる

 「先送りできない課題に一意専心に取り組む。それ以外のことは今考えていないと再三繰り返している」。首相は29日、記者団が早期の衆院解散の可能性を質問したのに対し、こう語気を強めた。
 首相は内閣改造・党役員人事で、党内各派の意向に配慮した「総主流派」体制を構築。来秋の総裁選出馬が取り沙汰される茂木敏充幹事長や、高市早苗経済安全保障担当相、河野太郎デジタル相らを政権内に留め置いた。
 茂木氏と同じ党四役として、茂木派で「首相候補」の呼び声もある小渕優子選対委員長を起用。これを「野心をちらつかせる茂木氏へのけん制」(四役経験者)と見る向きは多い。高市氏が担当する機密情報の取り扱い資格者認定制度の創設や、河野氏が推進するマイナンバーカードの健康保険証一体化は、賛否が分かれ、矢面に立ちやすい。自民関係者は「対抗馬に力を蓄えさせない首相の執念を感じた」と話す。
 それでも首相の再選戦略が盤石とは言い難い。命運を左右しそうなのは内閣支持率の推移。改造人事では女性閣僚を過去最多に並ぶ5人に増員したものの、副大臣・政務官は女性ゼロとなり批判を招くなど、期待した浮揚効果は得られなかった。年末以降は防衛費増額や少子化対策の財源確保に向けた議論が本格化する見通し。「国民負担増」の議論が具体化すれば、政権への逆風が強まる可能性もある。
 次の総裁任期中となる2025年には参院選が行われるほか、現在の衆院議員が任期満了を迎える。政権の体力がじりじり失われる中で来年の総裁選を迎えれば、「選挙の『顔』にはなり得ないと見なされ、一気に『岸田降ろし』が吹く」(閣僚経験者)恐れもある。それゆえ、与野党では、総裁選に向け求心力を強めたい首相が「年内に衆院解散を断行するのでは」との観測が強まる。
 一方で、現状のまま解散に打って出ても勝てる保証はない。政府関係者は「自ら掲げた重要政策の財源論をあいまいにして解散すれば、しっぺ返しを食らう」と指摘する。選挙の結果次第では首相の責任が問われる。直ちに引責辞任につながらなくとも、再選シナリオはますます描きにくくなる。

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