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日米、宇宙監視体制強化へ 中ロに対抗、一体運用視野―「新たな作戦領域」対応急ぐ

2023年10月02日18時01分

会談に臨む木原稔防衛相(右)と米宇宙軍制服組トップのサルツマン作戦部長=9月25日、東京・市谷本村町の防衛省

会談に臨む木原稔防衛相(右)と米宇宙軍制服組トップのサルツマン作戦部長=9月25日、東京・市谷本村町の防衛省

  • 航空自衛隊が公開した、衛星状況監視訓練を想定したデモンストレーション=2021年11月30日、東京都府中市の空自府中基地

 日米両政府は宇宙の脅威を監視する「宇宙領域把握(SDA)」の協力を加速させる。人工衛星を破壊する「キラー衛星」の開発などを進める中国やロシアの動向は、宇宙を「新たな作戦領域」に変えた。日本にとり、広大な宇宙空間への対処は米国との連携が欠かせず、施設やセンサーの共有など運用面の一体化を視野に体制構築を急ぐ。

米と連携、中ロ衛星を監視 政府初の「宇宙安保構想」案が判明

 木原稔防衛相は10月3日に訪米し、オースティン国防長官と会談する。SDAの体制整備も議題となる見通しだ。9月25日には、来日した米宇宙軍制服組トップのサルツマン作戦部長と会談し、「わが国の防衛を全うするためには、宇宙領域での優越確保が必要不可欠だ」と取り組みの重要性を強調した。
 宇宙空間は国境がなく、情報収集やミサイル警戒、位置測定や通信など多様な分野で各国が進出を強める。従来の陸海空領域の作戦遂行にも不可欠な中、中ロ両国は他国の衛星を破壊する衛星攻撃兵器(ASAT)の開発・配備など能力強化を図っている。
 こうした情勢を踏まえ、日米は1月の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、現状は「情報共有にとどまる」(防衛省関係者)とされる宇宙領域の日米協力を深化させる方向性を打ち出した。宇宙も米国の対日防衛義務を定めた安保条約第5条の対象と確認し、結束をアピール。米軍は「在日宇宙軍」創設を検討している。
 防衛省は昨年3月、航空自衛隊府中基地(東京都)に宇宙監視システムの運用を担う「宇宙作戦群」を発足させた。昨年末策定の「国家防衛戦略」は空自を「航空宇宙自衛隊」に改編する方針を明記した。
 2026年度にはSDA衛星打ち上げを計画する。これに先立ち、来年度から自衛隊のセンサー類を民間衛星に相乗りさせる研究や光通信によるデータ伝送の実証試験に着手する。
 北朝鮮のミサイル開発をにらんだミサイル防衛(MD)でも宇宙は重要な領域となる。多数の小型人工衛星を展開して周辺地域を監視する「衛星コンステレーション」は、ミサイル拠点の把握や、音速の5倍以上で低空を飛行する極超音速兵器の探知・追尾を担う。反撃能力(敵基地攻撃能力)運用や迎撃のカギとなるもので、日本はこの分野でも米国との連携を視野に、整備を進める。

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