池江、開花を夢見て 最終日まで乗り切る―アジア大会・競泳
2023年09月29日21時35分
女子50メートルバタフライ決勝。池江は今出せる力を絞り出し、タッチをして振り返った。26秒02を示す電光掲示板。今夏の世界選手権(福岡)でマークした25秒50には届かない。「3位でうれしい気持ちと、6秒かかったか、っていう残念な気持ちと。少しずつうれしさも」。体調が万全ではない中、競泳最終日まで何とか乗り切った。
白血病を乗り越えて戻ってきたアジアの舞台。前回2018年大会で最優秀選手に輝いた姿とは開きがあり、「いい意味でも悪い意味でも、思っている以上に復活が早かった。早く復活したから感じる悔しさとつらさは自分にしか分からない」。インフルエンザからの病み上がりで、今大会は棄権した個人種目も。孤独な闘いだった。
ただ、海外レースで再び経験を積めたことで違う景色も広がった。「目標とか自分がなりたいものがちゃんとあるから、それに向かって体も回復してきてくれている。またいつか大きい花を咲かせられるように、今は耐えている」
メダル授与式では、すっきりした表情で表彰台に立った。いつか大輪を咲かせる。その思いを強く持ち続けることの大切さが分かっているから、くじけない。 (時事)