クラウド上にデータ保管 双日元社員、容易に閲覧か―営業秘密持ち出し・警視庁
2023年09月30日08時00分
元勤務先の総合商社「兼松」の営業秘密を転職後に不正に持ち出したとして、大手総合商社「双日」の元社員真鍋昌奨容疑者(32)が逮捕された事件で、同容疑者がインターネット上でデータを管理するクラウドサービスを使って、持ち出したデータを個人的に保管していたことが29日、捜査関係者への取材で分かった。
情報漏えい、対策不十分な企業も 識者「持ち出し把握の仕組みを」―双日元社員逮捕
場所を選ばず、スマートフォンなどでいつでも閲覧できる状態だったといい、警視庁生活経済課はデータが不正に利用されていないかを調べる。
捜査関係者によると、真鍋容疑者は双日に転職直後の昨年7月、自宅のパソコンから兼松のデータベースに接続し、自動車部品の取引台帳や、海外メーカー向けの新商品の開発提案書など三つのファイルをダウンロード。その後、自身が管理するクラウド上にデータをアップロードして保管していた。
今年4月には、クラウドに保管したデータの画像を知人に見せ、「兼松の情報をいつでも見られるように保存している」と明かしていたという。
真鍋容疑者は昨年7月、「個人的にまとめた海外の飲食店のリストを見たい」と偽って聞き出した派遣社員のIDとパスワードを使い、兼松のデータベースにアクセスして営業秘密を入手したとして、不正競争防止法の疑いで逮捕された。