勝因はSH斎藤のプレー レメキはMVPの活躍―ラグビーW杯・村田亙の視点
2023年09月29日15時53分
勝ててよかった。次につながった。勝因は、(流の欠場で)スクランブルで出たSH斎藤が落ち着いてプレーをしていたこと。SO松田とゲームを組み立て、意図したサインプレーでトライにつなげた。蹴らずにパスできれいに取れて、きょうはいけるという感じになった。斎藤にはポイントに素早く寄ることができる嗅覚があって、ラックができた瞬間にボールをさばける。
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スクラムも健闘した。稲垣、堀江、具のFW第1列の仕事量が本当に多かった。防御も、前半はサモアの突進をよく止めていた。ただ、後半は差が開いた終盤に、主力も交代して2トライを取られてしまった。最後は危ない雰囲気になった。
FBレメキはMVPの活躍。7人制日本代表として、リオデジャネイロ五輪で4位になったという自信を持っている。W杯前の試合に出ていないから、フレッシュだった。やはりキックがうまい。7人制の技術を15人制に生かしている。イングランド戦を反省してショートパントを一度も蹴らず、ロングキックとハイパントをうまく使っていた。代表に選んでおいて本当によかったと思う。
日本は間違いなくレベルが上がった。ワインのように、チームが熟してきた。アルゼンチン戦は、相手が格上なので厳しい試合になるとは思う。PG合戦になったら、キックの差で勝利がどちらに転がるか。アルゼンチンは伝統的にキッカーがいいが、松田も調子がいいので期待できる。
◇村田亙氏の略歴
村田亙(むらた・わたる)東福岡高から専大を経て、90年に東芝府中(現BL東京)入り。攻撃的なSHとして、96年度からの日本選手権3連覇などに貢献した。99年に日本人初のプロ選手としてフランスリーグのバイヨンヌ(当時2部)と契約し、2シーズン在籍。帰国後はヤマハ(現静岡)で40歳まで現役を続けた。日本代表41キャップで、W杯には91、95、99年に3大会連続で出場。現役引退後は7人制男子日本代表監督、専大監督を歴任した。55歳。福岡市出身。