連合の芳野会長2期目、課題は山積 立・国股裂き、政権との間合い
2023年09月29日07時09分
労働組合の中央組織、連合の芳野友子会長の続投が10月5、6両日の定期大会で決まる。連合の支援先が立憲民主、国民民主両党に分かれる「股裂き」状況の正常化や、「構造的な賃上げ」実現を口実に接近してくる岸田政権との間合いなど課題が山積。衆院解散・総選挙もにらみ、手腕が問われる2期目となる。
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「立民と国民民主が連携を取っていくことがベースになる。なんとか(組合の)皆さんが戦いやすい環境と政策を実現していくため連携を強化しないといけない」。芳野氏は28日の記者会見で、旧民主党を源流とする両党の合流を目指す考えを改めて強調した。
芳野氏は2021年10月に連合初の女性会長として就任。賃上げ実現へ自民の麻生太郎副総裁との会食に応じるなど政府・与党の懐にも飛び込む姿勢と反共産党色の濃い言動が物議を醸した。
連合は定期大会でまとめる24~25年度の運動方針に「立民と国民民主を中心に、働く仲間・生活者の立場に立つ政治勢力の結集・拡大を目指す」と明記する。ただ、共産との選挙協力を完全に排除しない立民と、与党との協調路線に突き進む国民民主との溝は深まる。芳野氏は「共産との共闘はあり得ない」と繰り返す一方、国民民主にも「(自民との)連立はあり得ない」とくぎを刺す。立民には「芳野氏の言動が国民民主の与党接近を招いた」(関係者)との不満がある。
政権側は「(連合の)意見を内閣(の政策)に反映する」(麻生氏)として、露骨なアプローチを重ねる。先の内閣改造に合わせ、連合傘下の電機連合出身で国民民主副代表だった矢田稚子元参院議員を首相補佐官に起用。連合大会には岸田文雄首相が現職首相として16年ぶりに出席する方向で調整する。
連合幹部は「労使が一体化したと見られれば、組織は成り立たない」と危機感を強める。