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与野党「秋解散」を警戒 岸田首相の減税方針、臆測に拍車

2023年09月29日07時06分

企業を視察する岸田文雄首相(左)=28日、東京都大田区(代表撮影)

企業を視察する岸田文雄首相(左)=28日、東京都大田区(代表撮影)

 岸田文雄首相が秋の衆院解散を模索しているとの観測が広がり、与野党は警戒を強めている。首相が臨時国会召集や2023年度補正予算案提出の時期を明確にしないことに加え、10月にまとめる経済対策の柱として減税を打ち出したことが「疑心暗鬼」(自民党重鎮)を増幅させている。

与野党に「秋解散」観測 補正時期、岸田首相また明言せず

 自民最大派閥・安倍派の塩谷立座長は28日の同派例会で「選挙はいつあってもおかしくない。気を引き締めよう」と強調した。二階俊博元幹事長も二階派会合で「次の選挙で勝つことが大事だ。選挙が始まってから慌てるようでは遅い」と檄(げき)を飛ばした。
 秋解散の見方が拡散する最大の要因は、内閣改造から2週間以上たっても秋の政治日程が固まらないことだ。首相官邸は国会召集時期を「10月中旬以降」(政府首脳)と説明するにとどめる。10月末に策定する経済対策の財源を裏付ける補正予算案の国会提出時期も首相は明言せず、解散・総選挙後に開く国会での処理の可能性を残したままだ。
 自民内では「首相が10月中旬に国会を召集して冒頭で解散し、接戦が予想される衆院補欠選挙(同月22日投開票)を消滅させる」「国会召集を10月下旬にずらし、経済対策発表に合わせて解散する」などとさまざまな憶測が乱れ飛ぶ。
 首相が減税に触れたことも解散論に拍車を掛けた。26日の閣議で「税収増を国民に還元する」と強調し、具体策として「特許などの所得に関する減税制度の創設」などに言及した。党幹部は「減税を掲げての解散もあり得る」と語った。
 官邸は29日にも国会召集日を確定したい考えだが、それでも緊迫した空気が緩む気配はない。公明党の北側一雄副代表は28日の記者会見で「10月末に衆院(議員任期)の折り返し点がやってくる。いつ衆院選があってもいいよう備えだけはしておかないといけない」と強調した。
 野党も身構える。立憲民主党の泉健太代表は27日の全国幹事長会議で「解散・総選挙の可能性も十分に(ある)」と指摘。日本維新の会の馬場伸幸代表も28日の会見で「(首相は)解散できる環境を整えている」と語った。
 一方で岸田派からは「これだけ解散する雰囲気を出して解散しなかったら、かえって求心力を失う」(関係者)との懸念も出ている。首相は6月の通常国会最終盤で解散に関し「情勢をよく見極めたい」と含みを持たせたが、二日後に「今国会での解散は考えていない」と自ら火消し。与野党には「解散権をもてあそんだ」と批判が上がった。

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