台湾初の自主建造潜水艦が進水 中国抑止へ、「海鯤」と命名
2023年09月28日20時30分
【台北時事】台湾初の自主建造潜水艦の進水式が28日、台湾南部・高雄市で開かれた。台湾統一を目指す中国が周辺海域の封鎖訓練を繰り返す中、抑止力強化の要を担う。蔡英文総統は式典で「わが国と自由・民主主義を守る力になるだろう」と強調。伝説の大魚にちなみ「海鯤」と命名した。
海鯤は全長約70メートル、幅約8メートル、排水量は2500~3000トン。建造費は約493億6000万台湾ドル(約2285億円)で、造船最大手の台湾国際造船(高雄市)が建造した。2025年に就役する予定だ。
台湾周辺海域の防衛には最低8隻の潜水艦が必要とされる。しかし、台湾が現在運用しているのはオランダから取得した2隻にとどまっている上、いずれも老朽化している。このため台湾は、今回進水した海鯤と同型艦7隻の計8隻を建造、就役させる計画だ。
蔡氏は16年の就任以来、軍備の自主開発・製造を推進してきた。中国の圧力により各国から新規購入することは難しいが、「国防の独立性を実現しなければならない」(蔡氏)ためだ。米国は18年、台湾製潜水艦の開発計画に対する米防衛企業の関与を解禁し、建造を後押しした。
中国軍は昨年夏に台湾を包囲する形で大規模軍事演習を実施して以降、活動を活発化。軍用機や艦艇が頻繁に台湾東側のフィリピン海に回り込むなど、「台湾封鎖」訓練を進めているとみられる。
蔡政権下ではほかに、600トン級の巡視船「安平」「成功」、新型訓練機「勇鷹」などが自主建造された。