双日元社員を逮捕 兼松の情報持ち出し容疑―転職時に口実作りアクセス・警視庁
2023年09月28日12時32分
元勤務先の営業秘密を不正に持ち出したとして、警視庁生活経済課は28日までに、不正競争防止法違反(管理侵害行為)の疑いで、大手総合商社「双日」(東京都千代田区)の元社員真鍋昌奨容疑者(32)=江東区豊洲=を逮捕した。容疑を否認しているという。
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逮捕容疑は双日に転職後の昨年7月、自宅から元勤務先の総合商社「兼松」(千代田区)のデータベースにアクセスし、新製品開発に関する提案書や利益見込みを示す採算表のデータをダウンロードするなどした疑い。
同課によると、真鍋容疑者は当時、兼松の派遣社員だった40代女性に「出張先の飲食店リストが見たい」と口実を作って依頼。女性が使っていたIDやパスワードを聞き出し、データベースにアクセスしていた。
同容疑者は任意の事情聴取に「同僚や上司には聞けないので女性に頼んだ」という趣旨の説明をしていたという。
持ち出したデータは限られた人のみがアクセスできるようになっており、同課は営業秘密に当たると判断した。双日も、前職の情報を持ち込まないように入社時に誓約書に署名させていた。
真鍋容疑者は昨年6月に兼松を退職し、同7月に双日に入社した。いずれも自動車関連の部門に勤務していた。
兼松はアクセス記録から大量のデータが持ち出されていることに気付き、昨年9月、警視庁に被害を相談した。
同庁は今年4月、双日本社などを家宅捜索。真鍋容疑者は同5月に同社から懲戒解雇された。
双日は「極めて遺憾。調査した結果、情報の持ち出しを指示したり、当社事業に不正に用いたりということは把握していない」とコメント。兼松の広報担当者は取材に「(社内の)情報管理を徹底していきたい」と話した。