「ゼロカーボン」発電を活用 核融合新興企業と提携―米鉄鋼大手
2023年09月28日13時33分
【ニューヨーク時事】米鉄鋼最大手ニューコアは27日、核融合発電の実用化を目指す米新興企業ヘリオンと脱炭素化への取り組みで提携したと発表した。核融合発電所を2030年までに整備。ニューコアは発電時に温室効果ガスが出ない「ゼロカーボン」電力を活用する。こうした試みは世界初という。
石炭を大量消費する製鉄は脱炭素化が難しい産業とされる。各社は温室ガス削減策の一つとして、鉄スクラップを電気で溶かす「電炉」を有望視している。だが、クリーンで安定した電力の調達が課題となっている。
ニューコアは提携でヘリオンに3500万ドル(約52億円)を出資。ヘリオンは原発1基分の半分に相当する出力500メガワットの核融合発電所をニューコアの製鉄所内に建設し、電力を直接供給する計画だ。
声明でニューコアは「核融合エネルギーでこれほどの規模の提携は世界初だ。産業全体の脱炭素化への道を開く」と意義を強調した。
核融合発電は、核分裂反応を利用する原子力発電よりも重大事故リスクが低いとされるが、実用化のハードルは高い。ヘリオンは28年の発電開始を目指し、米マイクロソフトと電力供給で合意している。