熱海富士、偉業ならず　大相撲秋場所

　初土俵からわずか１８場所目での偉業はならなかった。熱海富士は優勝決定戦で貴景勝の注文相撲に屈し、開口一番「稽古が足りていない」と、悔しさをにじませながら言葉を振り絞った。
　単独トップで迎えた千秋楽。元大関の朝乃山の圧力に屈して４敗に後退し、大関に並ばれた。「（変化に）反応できなかった。本割も決定戦も駄目だった」。実力者の壁は厚かった。
　返り入幕で賜杯争いをリード。「自分が入門した時から、横綱があそこで相撲を取っているのを見てきた。昔の自分に言いたい」と感慨に浸る場面も。館内を沸かし続け、初の三賞となる敢闘賞も手にした２１歳の新鋭は「まだ相撲人生は長いので、強くなりたい」と上だけを見据えた。