贈賄側への協力に兼業届 元医長、正当契約装ったか―がん研究センター汚職・警視庁
2023年09月25日07時31分
国立がん研究センター東病院の医療機器使用を巡る汚職事件で、収賄容疑で逮捕された元同院肝胆膵(すい)内科医長の橋本裕輔容疑者(47)が、贈賄側の医療機器メーカー「ゼオンメディカル」と医療機器に関する調査契約を結ぶ際、病院側に兼業届を提出していたことが24日、捜査関係者への取材で分かった。
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同センター職員は「みなし公務員」に当たるため、警視庁捜査2課は、勤務先の許可を得ることで、正当な契約だと装った疑いもあるとみて詳しく調べる。
捜査関係者によると、橋本容疑者はゼオン社製の医療機器「ステント」の使用感や有効性を確かめる「市販後調査」に協力する謝礼として、ステント1本を使うごとに、1万円を受け取る契約を2019~20年度に締結した。
契約に当たり、橋本容疑者は同院に兼業届を提出。書類には、謝礼支払い元としてゼオン社の社名のほか、調査への協力内容、報酬額などを記していたという。同センターの担当者は、届け出の有無を確認中とした上で、「企業と個人が直接契約する事例は聞いたことがない」と話した。
橋本容疑者は21年、同社製品を優先的に使用する見返りとして、ゼオン社から現金約170万円を受け取ったとして逮捕された。前年にも百数十万円を受領したことが判明している。