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最多で4敗4人の決定戦も 混戦より混乱の賜杯争い〔大相撲秋場所〕

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大相撲秋場所14日目、大栄翔(上)は小手投げで霧島を破る=23日、東京・両国国技館

大相撲秋場所14日目、大栄翔(上)は小手投げで霧島を破る=23日、東京・両国国技館

 大相撲秋場所14日目(23日、東京・両国国技館)、貴景勝が敗れ、3敗を守った熱海富士が再び単独トップに立った。これに続く4敗が貴景勝、大栄翔、高安、北青鵬の4人。千秋楽の取組編成には審判部の苦心が感じられ、最多で4敗4人の決定戦もあり得る展開となった。

◇大栄翔は執念の逆転勝ち

 結びの一番。前日に熱海富士を下して3敗で並び、逆転優勝を視野に入れた貴景勝が、豊昇龍を得意の小刻みな押しで正面へ追い詰めた。だが、回り込まれた瞬間に右上手を許す。半ば捨て身で打たれた投げを食った。

 新大関で7敗と後がない豊昇龍も必死だった。貴景勝とすれば、相手の横への動き、まわしをつかんだ時の強さを承知で詰めを図ったはずだが、「土俵の上でできなかった、イコール、弱い」と自らを断じ、「あしたまた集中してやるだけ」と口元を引き締めた。

 その前の一番では大栄翔が霧島にもろ差しを許しながら、両腕で無理やり抱えて腹に乗せてから小手投げでたたきつけた。押し相撲としては「あの体勢になったことがまず駄目だけど、最後まで諦めなくてよかった」。執念の白星だった。

 高安も動き回る翔猿を見ながら追い掛けて送り出し、腰に不安を抱える体調で優勝戦線に残った。

 これに対し、北青鵬は剣翔と右四つに組み合うと、労せずして寄り切った。剣翔は力を出せずじまい。熱海富士が3敗を守った一番は、阿炎が左へ変わってきた。徳俵で踏みとどまり、向き直ってから阿炎の追撃をしのぎ、右四つで正対して寄り切ったところに熱海富士の非凡さが見えたが、変化して逆転を許した阿炎は引き立て役に終わった。

◇北青鵬の相手で苦心の取組編成

 千秋楽の取組は14日目の取組後に編成される。大栄翔-貴景勝戦は番付上も順当だが、高安は霧島と、北青鵬は豊昇龍と、熱海富士は朝乃山との対戦になった。

 決定戦を3人のともえ戦にとどめるなら、4敗同士の高安と北青鵬を当てる考え方もある一方、北青鵬が役力士と対戦していないことがネックになった。

 北青鵬は本来、上位との対戦圏外にある西前頭11枚目だが、役力士と1番も取らずに優勝となれば賜杯の重みを問われ、審判部の失態ともいわれる。東15枚目ですでに3人の役力士と当たった熱海富士との不公平も、指摘されよう。

 その結果、豊昇龍戦が組まれた。豊昇龍も新大関で7勝7敗、負ければ来場所はかど番となるだけに負けられない。

 熱海富士の相手、朝乃山はこの日6敗目を喫した。大関復帰へ向け来場所で三役に返り咲くためには、西2枚目で8勝止まりに終わるわけにいかない。

 それぞれスリルのある取組にはなったが、熱海富士が逃げ切れなければ、最多で4敗4人による決定戦もあり得る。「混戦」より「混乱」というべきレベルの優勝争いと言える。

 北青鵬は6日目までで2勝4敗だった。そこからの8連勝は大健闘とはいえ、4敗の時点で、幕内上位と当てる力士ではなくなっている。1敗の熱海富士を11日目から役力士に当てたのとは、流れが違う。

 かつては下位力士が勝ち込んでも、審判部には、そのうち負けるだろうとの読みが働いてきた。時にはそれが外れ、前頭下位の平幕優勝もハプニング的に起きたが、最近はそれに近い展開が頻繁に起こる。

 若手の壁になり、幕内の力を見せつける中堅・ベテランの実力者が少なくなったからか。若さと馬力が物を言う相撲が増えたからか。熱海富士と北青鵬が勝ち星を重ねた取組は、両力士の将来性だけでないものも感じさせた。(時事通信社 若林哲治)

最終更新:

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