フランスに眠るラグビーの父 エリスの墓参りにファン続々―ラグビーW杯
2023年09月23日15時43分
【マントン(フランス)時事】ラグビーのワールドカップ(W杯)が開催されているフランスの南東部に、地中海を望むマントンという町がある。海辺から急な坂道を上った小高い丘の墓地に、ラグビーの「発明者」とされるウィリアム・ウェブ・エリスが眠っている。
W杯の優勝トロフィーの名称は「ウェブ・エリス杯」。ラグビーの起源については諸説あるが、発祥の地は英ウォリックシャー州にあるパブリックスクールのラグビー校とされる。1823年にエリス少年が主に足を使ってプレーする球技で、当時のルールを破ってボールを抱えて走ったことを始まりとする伝説が最も有名だ。晩年を過ごしたフランスで死去。墓地の門の脇には、ボールを持って走る男の子の像があり、石碑に「ウィリアム・ウェブ・エリス ラグビーの発明者」などと刻まれている。
墓地は、町を彩る赤茶の瓦屋根の家々と青い海を見下ろす風光明媚(めいび)な場所にある。墓にはラグビーボールや花、ジャージーが供えられていた。英国出身のラグビーファンで、米ワシントン在住のアラン・マードックさん(65)は2015年からW杯を3大会連続で現地観戦している。妻や友人と一緒に墓参りし、「彼はラグビーの父。彼がいなければ、こういう旅をすることもなかった。4年前からここに来ることを計画していた」と感慨に浸った。
近郊のニースで日本―イングランドの試合が行われた2日後の19日、墓前には地元フランスの人々だけではなく、さまざまな国から集ったラグビーファンが続々。強い日差しが照りつける中でも、参列はなかなか途切れなかった。