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「反中」候補がリード 経済危機、新たな政治求める―アルゼンチン大統領選まで1カ月

2023年09月23日20時32分

アルゼンチン大統領選の集会で、パフォーマンスでチェーンソーを掲げる候補者のハビエル・ミレイ下院議員(中央)=12日、ブエノスアイレス近郊(AFP時事)

アルゼンチン大統領選の集会で、パフォーマンスでチェーンソーを掲げる候補者のハビエル・ミレイ下院議員(中央)=12日、ブエノスアイレス近郊(AFP時事)

 【サンパウロ時事】10月22日に投開票が行われる南米アルゼンチン大統領選まで1カ月を切った。8月の予備選で躍進した独立系右派のハビエル・ミレイ下院議員がリードを維持し、与野党二大勢力の候補者2人と競り合う展開。国が経済危機に見舞われる中、ミレイ氏の訴える経済・通貨の「ドル化」や「反中」などの過激な主張が、新たな政治を求める有権者の心をつかんでいる。

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 「既存の政治におさらばだ」。ミレイ氏は今月半ば、首都ブエノスアイレス近郊などで行った運動で、チェーンソーを頭上に掲げ、支持を訴えた。歴代政権の大盤振る舞いで悪化した財政に切り込み、小さい政府を目指す意図を込めたものだ。こうした「劇場型政治」は、同氏が政治的に称賛するトランプ前米大統領を連想させる。
 コンサルタント会社アナロヒアスの世論調査によると、ミレイ氏の支持率は31%で首位。特に29歳までの若年層では40%と人気が高い。与党連合のセルヒオ・マサ経済相は28%、野党連合のパトリシア・ブルリッチ元治安相は21%にとどまる。
 ミレイ氏は、中央銀行を解体して通貨ペソを廃止し、ドルを自国通貨にすると主張している。物価高騰が慢性化しているアルゼンチンでは最近、インフレ率が年100%を突破。ペソも急落しており、国民の約4割が貧困にあえぐ。世界の基軸通貨の力を借りて経済の安定化を目指す考えだが、専門家からは課題を指摘する声も聞こえる。
 ミレイ氏は米保守派の論客タッカー・カールソン氏とのインタビューで、社会主義を批判。自由や民主主義を守るとし、「(大統領になれば)中国とは取引しない」と強調した。今月半ばにX(旧ツイッター)に投稿されたインタビュー動画の再生回数は既に4億回を超え、世界的な関心の高さが浮き彫りとなった。
 マサ氏は減税などを打ち出し、票の掘り起こしに躍起。ブルリッチ氏は与党の政策を批判するが、いずれも決定力を欠く。1回の選挙で当選者が決まるには少なくとも40%の得票率が必要で、決着は11月の決選投票に持ち込まれる公算が大きい。

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