調子重視の選手起用 大胆采配が好循環―プロ野球・オリックス、21世紀初のパV3(下)
2023年09月23日12時48分
開幕戦から驚きの連続だった。オリックスの中嶋監督は開幕投手に1軍初登板となる山下を起用しただけではなく、野口を1番遊撃、茶野を8番右翼、さらに来田を9番左翼と3年目以内の若手を先発に抜てき。昨年の日本シリーズ第7戦でもスタメンだったのは杉本、中川圭、宗の3人だけだった。
選手に寄り添う中嶋流 コンディション管理も徹底―プロ野球・オリックス、21世紀初のパV3(上)
しかし、オープン戦の成績を見れば当然のことだった。野口は打率3割6分4厘、2本塁打をマーク。四国アイランドリーグplusの徳島から育成ドラフト4位で今年入団した茶野もアピールを続け、開幕前に支配下登録を勝ち取った。「やる以上は結果を求めないと。貪欲にいきたい」と茶野。5月中旬には14試合連続安打を記録するなど序盤のチームを支えた。
今季のオリックスはリーグ優勝決定時の支配下選手67人のうち、実に58人が1軍の試合に出場した。「選手が頑張っているので使いたくなるし、何とか花開いてほしい」。実績はなくとも好調な選手を積極的に起用し、期待に応えようと選手が奮闘する―。中嶋監督は「選手がやってくれなければ完全に悪手。使う方は勇気だけ」と言うが、的確な判断が好循環を生み、リーグ独走の大きな力となった。
夏場以降、投手ではローテーションに定着した育成出身右腕の東が無傷の6連勝と活躍。野手では2年目の渡部や池田らがスタメンに名を連ね、優勝を争う独特の緊張感を味わい、これ以上ない経験を積んだ。
序盤は思うような結果を残せなかった杉本、中川圭ら実績のある選手にも勝負どころで頼もしさが戻ってきた。かねて掲げてきた「全員で勝つ」を体現し、3連覇への道筋をつくった。