木原氏、異例の党務「二刀流」 岸田首相、茂木氏けん制―自民
2023年09月23日07時13分
岸田文雄首相(自民党総裁)の最側近、木原誠二前官房副長官が22日、党の幹事長代理に就任した。政調会長特別補佐も兼務する異例の「二刀流」。党本部と首相官邸の連携を強化するとともに、総裁選出馬に意欲を見せる茂木敏充幹事長をけん制する狙いが透ける。ただ、週刊誌報道の標的となってきた木原氏が注目されることを不安視する声も、党内にはくすぶっている。
「木原氏は副長官として大事な役割を果たしてきた。(官邸との)より緊密な関係に貢献してもらえるのではないか」。森山裕総務会長は同日の記者会見でこう指摘。萩生田光一政調会長も記者団に「より緊密に官邸と連携を取りたいとの思いから(特別補佐に)指名した」と語った。
木原氏は財務省出身。首相が率いる岸田派に所属し、ブレーンとして知られる。2021年10月の岸田内閣発足に伴い副長官に就くと、内政・外交両面で黒子役として辣腕(らつわん)を振るってきた。
しかし、家族をめぐる疑惑などが毎週のように週刊文春で報じられ、先の内閣改造を機に自ら交代を希望したという。首相周辺は「木原氏の家族は精神的に相当参っていた」と明かす。
一方、首相が木原氏を党の要職へ移した意図について、岸田派幹部は「党の動きを知りたいのだろう」と解説。念頭にあるのは茂木氏だ。本人は「岸田政権を支える」と繰り返すが、子育て政策などの発信で「突出」が目立っただけに、首相の不信感は根強いとされる。そのため、木原氏の役割については、茂木氏の「監視役」との見方がもっぱらだ。
もっとも、自民党関係者は「木原氏にスポットライトを当てていいのか。当たらないように副長官から外したのではないのか」と危惧する。木原氏は週刊誌報道について直接説明しておらず、公明党の石井啓一幹事長は22日の会見で「本人が自覚して対応すべきことだ」と指摘した。