原点は6年前の敗戦 藤波、強さの背景は―世界レスリング
2023年09月23日07時16分
【ベオグラード時事】来年のパリ五輪予選を兼ねるレスリングの世界選手権女子53キロ級で、藤波朱理(日体大)が2年ぶり2度目の優勝を果たした。試合後は誇らしげに日の丸を掲げてマットを周回。「世界選手権(金メダル)でこんなに最高なのに、もし五輪でウイニングランができたらどんな気分なんだろう」。来年の大舞台へ早くも胸を躍らせた。
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藤波を語る上で欠かせないのが連勝記録。公式戦で最後に負けたのは、中学時代の2017年6月までさかのぼる。全国中学生選手権決勝で1学年上の選手に負けた悔しさから「もう弱音を吐かない」と決心。現在も指導を受ける父の俊一さんとの二人三脚で連勝が始まった。
本人は数字自体には関心を示さないものの、「負けたらどうしようという不安はある」と本音を漏らす。「マットに上がる時に不安要素をなくすため、日々練習をする。その繰り返し」。正攻法で恐怖心を振り払っている。
6月に五輪3連覇の吉田沙保里が持つ119連勝を抜いた。世界選手権の優勝で記録が127に伸びても「自分はまだまだ弱い。さらに強くなりたいという思いが増した」。尽きぬ向上心とたゆまぬ努力が、強さの原動力になっている。